多様な家族のあり方の実現に取り組む一般社団法人「Famiee(ファミー)」は5月13日、異性同士の事実婚カップル向けパートナーシップ証明書の発行サービスを開始したと発表した。

ファミーは「夫婦別姓などの法制度化にはまだ時間がかかるので、民間企業・団体や自治体が連携して、先行して多様な家族に対するサポートを届けたい」としている。

●パートナーシップ制度からこぼれ落ちるカップル

ファミーによると、全国の自治体ではパートナーシップ宣誓制度の導入が広がっているが、同性カップル向けが多く、事実婚カップルも対象としている自治体は一部にとどまっている。

そのため、事実婚カップルは、家族の手術同意書への署名を病院側から断られたり、パートナーを生命保険の受取人に指定できなかったりするなど、日常生活のさまざまなシーンで不利益を被っているという。

ファミーはこれまで、同性パートナーの家族関係を証明するサービス「Famiee」を運営してきたが、新たに異性同士の事実婚カップルにもパートナーシップ証明書を発行できるようにした。

●賛同する企業や自治体のさらなる広がりを期待

利用希望者はスマートフォンで「Famiee」のアプリをダウンロードし、オンラインで申請すると、ブロックチェーンの技術で申請情報が記録される。

このサービスを導入している企業や自治体は利用者から証明書の提示を受けたら、データを照会して確認できる仕組みになっているという。

自社の社員に対する福利厚生や顧客に提供するサービスの一環として、この異性の事実婚カップル向けの証明書サービスをすでに受け入れている民間企業や自治体もあるという。

ファミーは賛同者をさらに増やすことで、選択的夫婦別姓制度の導入を民間主導で後押しし、多様な家族のあり方を進めていこうとしている。

●事実婚の男性「心の支えになる」

これまで31年にわたって事実婚を続けているという田中浩さんはこの日、事実婚カップルとして初めてFamieeの証明書発行を受けた。

「今でも法律婚の夫婦になれることを待っているが、(選択的夫婦別姓制度の導入には)まだ時間がかかる。こういう形での認証を受けていただき、本当に心の支えになる」と話した。

異性の事実婚に「パートナー証明書」発行、民間団体が開始 選択的夫婦別姓制度の導入あと押し