
確かに、どちらも溶かして固めるけどさ
「作り方が似ているから、同じように作れる」みたいなものがありますよね。茶碗蒸しを作り慣れているお寿司屋さんが、同じ要領で趣味の一貫としてプリンを作ったら大ヒットした……という話を聞いたこともあります。
そのような発想で、「チョコもろうそくも溶かして固めるじゃん!」という気付きから、チョコみたいな着火剤を作っちゃった人がいます。
東京都は、“グリーントランスフォーメーション”の取組を加速させるための「TOKYO GX ACTION」を実施中。東京ビッグサイトで「TOKYO GX ACTION CHANGING 未来を変える脱炭素アクション」を5月17日、18日に開催しています。
そのイベントの展示で見つけたのは、ハートの形をした手のひらサイズのアイテム。なんだかかわいらしい見た目ですが、これはいったい……?
こちらは、三菱電機の「CHACCACAO(チャッカカオ)」。カカオハスクというカカオ豆の皮と、お寺で燃え残った和ろうそくを掛け合わせた着火剤です。
なんと、キャンプなどで薪に火をつける際に使う着火剤だったとは……。CHACCACAOという名前からして、「着火+カカオ」ですものね。
担当の方の話によると、チョコとろうそく、どっちも溶かして固めるぞ……という共通点に気付いて、そこから着想を得たのだそう。
三菱電機株式会社統合デザイン研究所内の公募型プロジェクト「Design X」で、三菱のプロダクトのアピールと社会貢献のための取り組みとして制作。クラウドファンディングで資金調達し、製品化に至ったのだとか。
なかなか活用されない素材を再利用
カカオハスクとは、チョコレートの製造過程で取り除かれるカカオ豆の種皮のこと。製造工程で取り除かれ、今まで積極的な活用がされてきませんでした。このカカオハスクはチョコレートでおなじみの明治が提供しているそう。
一方の和ろうそくは、お寺などで使用されてきましたが、実は1回の行事で使い切ることがほとんどありません。蝋を溶かして新たな和ろうそくとして生まれ変わらせる取り組みもありますが、芯材はほとんど活用されずにいたそうです。
CHACCACAOは、回収された和ろうそくから取り出した芯材と蝋、そしてカカオハスクを配合することで、着火剤としての高い性能を実現したそう。
和ろうそくの製造工程では、植物由来の油分の配合と素材に合わせた温度管理をしています。チョコレートの製造工程でも、カカオ豆の油脂であるココアバターの結晶型を揃えるテンパリング(作業時の温度管理)が重要。
そう、和ろうそくもチョコレートも緻密な温度管理が重要なのです……と、謎かけみたいな説明を受けました。とにかく、チョコとろうそくの共通点に着目したということが重要なようです。
見た目は完全にチョコレート
キャンプ好きな人へのバレンタインにぜひ
CHACCACAOに火をつけると、和ろうそく特有の大きな炎を立てながらおよそ30分燃え続けます。薪への着火が容易になるほか、補助的な灯りや暖房として庭やベランダでも楽しめるとしています。
ちなみに、燃やす前はほんのりカカオ豆の香りがします。チョコレートだと間違える人がいてもおかしくないレベル。燃やすと香りはなくなるそう。火をつけたらチョコの香りがしたらおもしろいなあと思ったのですが、カカオ豆の皮ですから、そうはならないですよね。
見た目もかわいらしく、一見すると着火材に見えないデザイン。バレンタインのプレゼントギフト用などの用途も視野に入れているらしく、「薪にも会話にも火をつける着火剤」だそうです。
ふーん、うまいこと言うじゃん……。なんだか製品名といいエピソードといい、うまいこと言おうとしてる感じが強めですね……。
環境面の話をすると、一般的な着火剤は石油系原料(パラフィンなど)を含んでいることが多いですが、CHACCACAOは植物系原料のみにこだわり、燃えた後は灰しか残りません。環境に配慮しながらバーベキューやキャンプにも使えるそうです。
捨てられてしまう素材を有効活用しつつ、ちょっとひねりを効かせた着火剤「CHACCACAO」。キャンプなどが趣味の家族や友人のギフトにもいいのではないでしょうか。
「チョコみたいなアイテム」として考えると、毎年のように激戦になっているバレンタインデーのプレゼントとしても使えるかもしれません。たとえば、甘いものが苦手な人へ向けたプレゼントに選ぶとか、ね。

コメント