スクラップ寸前から奇跡の復活を遂げた激レアなマツダ2代目「ルーチェ」!

腐食だらけの希少車を再生

市場にはめったに出まわらないマツダ2代目「ルーチェ」。腐食だらけのスクラップ寸前だったこの個体は、オーナーの友孝さんが長い時間と手間をかけて見事に復活させました。部品が入手困難なことやミッション交換の失敗を乗り越え、今や新車のような輝きを放つまでに至ったレストアの記録をお届けします。

「AP」バッジが物語る時代背景とは

1972年マツダから発売された2代目「ルーチェ」は、大鷲をイメージテーマに開発された。ルーチェはこの時代のマツダフラッグシップモデルとして君臨し、なかでもハードトップGSはスポーツカーとして美しいスタイリングが好評で、現在も探している旧車ファンは多い。今回紹介する2代目LA22S型は、市場にもなかなか出回らないレア車として有名だ。そのようなクルマを独自のネットワークによって手に入れ、サビだらけで腐食したボディを綺麗な状態になるまで手間暇かけてレストアして、再び公道を走れるように蘇らせたのが兵庫県姫路市在住の友孝さんだ。

この2代目ルーチェの当時のポイントは、古いマツダ車でよく目にする「AP」が付いていたこと。このAPとは「Anti Pollution」、いわゆる低公害車であることを示している。この時代、公害問題がクローズアップされ、自動車の排気ガスは目の敵にされた。そこで当時の運輸省が排ガス中のCO、HC、NOx量についての低減目標を設け、各メーカーはそれをクリアしなければならなくなり開発競争が始まった。

マツダは他社に先駆けてマツダRE公害対策システム「MAZDA REAPS」を開発し、それを早々に搭載したクルマがこの2代目ルーチェだったわけだ。

幼少期の記憶が背中を押して購入

ボディバリエーションはセダンとクーペの2種だったが、後にハードトップとカスタムセダン、フォーマルセダンの3種が新たに加わった。さらにミッションも4速MT、5速MTのほか、REマチックというATの3種類が用意された。そして驚くことに、最終的には多様化するニーズに応えるため、マツダルーチェのグレードを幅広く展開。そのバリエーションは19種類にも達したという話もある。

友孝さんがこの2代目ルーチェを買おうと思ったきっかけは、子どもの頃によく見ていたからだと話す。じつは、すでに(日産C110型スカイライン)ケンメリ(2ドア)とヨンメリ(4ドア)の2台を所有していたが、どうしても欲しいという人が現れ、ヨンメリを手放すことを決意。しかし、旧車が1台なくなると、なんだか無性にもう1台欲しくなってしまう。ヨンメリを売ったお金が手元にあったから、なおさら「欲しい」という衝動に駆られて次の愛車探しを始める。そんなとき幼少期の記憶が蘇り、「あのクルマに乗りたい」と思い出したのがルーチェだという。

そこからは偶然の巡り合わせで、スクラップ寸前の状態の個体を購入。純正部品を集め、フロアなどの穴が開いた箇所を修復するなど苦労を重ねて、現在のように新車のような輝きを放つ1台を完成させた。

ミッション交換でまさかのトラブル

レストア中の失敗談は数多くあるが、とくに印象的だったのがミッションの載せ換え作業だという。純正品は使い物にならなかったため「サバンナ」用を装着したのはよかったが、エンジンを始動させると突然オイルがダダ漏れの状態に。

いろいろと原因を調べた結果、この型のルーチェだけMTミッションなのにパーキングレンジが付いていて、そのオイルはミッションオイルではなくエンジンオイルとの共用という特殊な作りになっていることが判明した。その後、純正ミッションをオーバーホールして、元の状態に取り付けたら、無事にオイル漏れもなくなったそうだ。

レストアされたマツダ 2代目 ルーチェを紹介

また、美しい輝きを放つボディカラーについては、当時のオリジナルではなく、SA22C型「サバンナRX-7」のグリーンにオールペンしている。そのほかは基本的に純正だが、ホイールはスペーサーを入れてツライチ・スタイルにしている。唯一の変更点といえばフロントのチンスポイラーとのことだった。

内外装を含めてパーツは国内にほぼ無く、その調達は主に海外。オーストラリアやアメリカだったと話す。マツダの旧車パーツはアメリカなら比較的手に入る確率が高いそうなので、困っているオーナーは海外オークションなどもチェックした方が良いだろう。

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マツダ 2代目 LA22S型 ルーチェ:フロントのチンスポイラーを交換している