近年は、真夏の最高気温が35度を超える日も珍しくなくなり、熱中症やそれに近い症状で体調を崩す人も多いとされます。そこで、真夏の暑さで体調を崩さないように、夏を迎える前に「暑熱順化」をした方がよいとされています。しかし、暑熱順化という言葉自体、どのような意味か知らない人も多いと思います。暑くなる前に「暑熱順化」を意識的に行った方がよいのでしょうか。内科医の市原由美江さんが解説します。

5月中に「暑熱順化」を

 「暑熱順化」とは、積極的に発汗をするなどして、暑い環境に体を慣れさせることを指します。暑い時季に体温調整が適切に行えるよう、本格的な夏になる前に行う必要があります。具体的には、ウオーキングやジョギングなどの運動や入浴で習慣的に汗をかくことで、暑熱順化が促されます。

 暑熱順化によって皮膚の血管が広がり、効率よく汗をかけるようになります。その結果、暑い環境の中でも体温調整ができるようになり、熱中症になるリスクを下げることができます。

 個人差がありますが、暑熱順化には長くて2週間程度が必要です。梅雨明けの急な気温の上昇に体がついていけなくなるため、余裕をもって5月中には暑熱順化を済ませましょう。

 特に中高年以上の人は、若い人よりも熱中症になりやすいので、積極的に暑熱順化をした方がよいです。しかし、近年、最高気温が35度を超える日も多くなり、夏の暑さが尋常ではないため、若い人も油断できません。若い人も暑熱順化を意識してください。

 2025年の夏も“猛暑”が予想されているため、積極的に暑熱順化をしましょう。ただし、暑熱順化を行っているからといって熱中症にならないわけではありません。暑い環境にいるときは、水分補給やミネラル補給、暑さの回避などを常に意識しましょう。

オトナンサー編集部

暑熱順化とは?