「この30年間、なぜ日本経済がここまで停滞してしまったか。シンプルに言えば、政治が決断すべきことを決断してこなかったからです」

コメ政策の失敗が露呈

 夏の参院選を控える国民民主党代表の玉木雄一郎氏が、「文藝春秋」7月号で政策提言「私の日本再生計画」を発表した。

 玉木氏が「決断できない政治」の典型として挙げたのが、価格高騰を契機に国家的な問題として浮上したコメ政策だ。

「これまでのコメ政策はコメが余っていることが前提でした。しかし、コメは余っているどころか足りない。2018年に減反を本当にやめて増産に舵を切っていれば、今回の事態は起らなかったでしょう」

減反政策が招いた農村の衰退

 コメの生産を政府が統制するいわゆる「減反政策」は2018年の農政改革で廃止されたが、事実上、減反政策は続いて来たというのが玉木氏の主張だ。国は、補助金を使って飼料用米の生産を奨励し、食用米の生産を抑制することで米価を維持して消費者に負担させてきた。

「このときの政治の無決断のせいで、何が起きたのか。それは日本の農村の衰退です。生産量を抑えつける農業政策により、農家の未来は暗くなり、世代交代が阻害され、高齢化が加速しました」

 ここに温暖化など異常気象が追い打ちをかけ、出荷量が減少。需給の相場がマーケットに反映され、米価の急騰を招いた。

「私の日本再生計画」を提唱

「今こそ『コメは不足している』という現実を受け止めて、コメの増産へと大胆に舵を切る決断を、政治が下さなければいけないのです」

 そこで玉木氏は、「私の日本再生計画」の中で新しいコメ政策についても提唱している。

「私は10年後、20年後の未来像を明確に打ち出せる政治リーダーでありたい。日本の希望を作りたい」

 本稿では、日本経済再生のための両輪として「短期」「中長期」政策を提言。「103万円の壁」撤廃後178万円まで引き上げを求める根拠や、減税における財源論にも言及。ほかにも、深刻な世代間格差を生む社会保障制度の改革案、子育て・教育・科学技術予算の倍増計画、民間投資を加速させる新税制の導入、海底資源も活用したエネルギー政策など、新しいアイデアを盛り込んだプランが提起されている。

 玉木氏の「私の日本再生計画」は、6月10日(火)発売の月刊「文藝春秋」7月号に12ページにわたり掲載される(月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」では6月9日に先行公開)。

(「文藝春秋」編集部/文藝春秋 2025年7月号)

取材に応じる玉木氏 ©文藝春秋