6月10日は、2026年FIFAワールドカップ北中米大会アジア最終予選の最終戦となるインドネシア戦が行われます。ところでサッカーといえば、テレビ中継でも映し出される選手入場のシーンで、選手と手をつないで歩く子どもたちに目が留まったことはないでしょうか? この子どもたちは「エスコートキッズ」と呼ばれています。名前の通り、選手を“エスコート”する意味合いもありますが、実はそれ以上に深い意味や理由があるようです。

倍率は900倍にも

 エスコートキッズが生まれた最大の理由は「フェアプレー精神を忘れないため」です。

 サッカーは、時に選手同士が接触する場面もある激しいスポーツ。だからこそ、「子どもの前でも恥ずかしくないプレーをする」「子どもたちのお手本となるプレーをする」という意識を持つために、選手と子どもが一緒に入場するようになったといわれています。

 さらに、子どもが隣にいることで、選手の気持ちが落ち着くといった効果もあります。試合前の高揚を抑え、対戦前のトラブルや衝突を避ける目的もあるそう。他にも、子どもたちに夢を与えることや、児童虐待防止キャンペーンの一環など、さまざまな思いが込められているようです。

 そんなエスコートキッズの歴史は、意外と浅め。1998年FIFAワールドカップフランス大会から採用され、Jリーグでも採用されるようになりました。子どもたちは選手と一緒にピッチに立ち、両チームの国歌斉唱が終わるまで付き添います。

 選ばれるのは、地元の小学生や少年団のメンバーのほか、応募者の中から抽選で決まることも。人気選手と一緒に歩けるとあって、国際試合は特に人気が高く、倍率は約900倍にもなるといわれています。

 そんなエスコートキッズは、時に“ドラマ”を生むことも。例えば、7歳の頃にエスコートキッズを務めたフィル・フォーデン選手は、現在イングランド代表のMFとして活躍中。まさにサッカー少年たちの夢を体現したような成長物語ですよね。日本では、長友佑都さんや稲本潤一さんの子どもがエスコートキッズとして登場し、親子共演が話題となったこともあります。

 選手にとってはフェアプレーの象徴であり、子どもにとっては夢のような経験となるエスコートキッズ。このワンシーンには、世代を超えたつながりとスポーツの原点が詰まっているのかもしれません。サッカーの試合を観戦するときは、ぜひ注目してみてくださいね。

オトナンサー編集部

「エスコートキッズ」の理由って?