
俳優の吉沢亮が6月9日、都内で開催された「第34回日本映画批評家大賞授賞式」に出席。映画「ぼくが生きてる、ふたつの世界」で主演男優賞を受賞し、その喜びを語った。
■吉沢亮、主演男優賞受賞で喜び
日本映画批評家大賞は、「映画批評家による、批評家だけの視点で選出する、他に類をみない映画賞」として、この上ない愛情を邦画に注ぐ映画批評家たちが作り上げた歴史ある映画賞。
「ぼくが生きてる、ふたつの世界」は、コーダ(Children of Deaf Adults/きこえない、またはきこえにくい親を持つ聴者の子供という意味)という生い立ちを踏まえて、社会的マイノリティーに焦点を当てた執筆活動をする作家・エッセイストの五十嵐大氏による自伝的エッセー「ろうの両親から生まれたぼくが聴こえる世界と聴こえない世界を行き来して考えた30のこと」を映画化した物語。吉沢は耳のきこえない両親の元で育った息子・五十嵐大を演じた。
吉沢は「呉美保監督の作品は、このお話を頂く前からよく見させていただいていて。いつかご一緒できたらなとすごく憧れていたので、そんな監督とこの作品でご一緒できて、この作品でこのようなすてきな賞を頂けたこと、非常にうれしく思います」と感謝。
さらに、「本日は助演女優賞、編集賞、作品賞と4つの賞を頂いたということで、自分の関わらせていただいた作品をこのような形で評価していただけたこと、この上ない喜びを感じています。これからもこの賞に恥じないように精いっぱいお芝居と向き合っていきたいと思います」と言葉に力を込めた。
■吉沢亮、“15歳”も演じ「恥ずかしいというか申し訳ないというか」
本作での手話については「この作品に関わらせていただくにあたって、ゼロからの手話のスタートで」と振り返り、「コミュニケーションなので、ただ覚えるわけではなく、それを使いながら芝居を構築していくことがなかなか難しいな、と思いました」と告白。
「手話指導の方や、お母さん役の忍足(亜希子)さんが温かく支えてくださいました。そのおかげでどうにか形にすることができて」と周りに感謝し、「皆さまのおかげで今日はこの場に立てていると思っています」とかみ締めた。
本作では学生時代から演じており、「とにかく現場で監督からは『もうちょっと声を高くしてくれ』ってずっと言われていて。当時30歳になった歳で、(役は)15歳からなので…恥ずかしいというか申し訳ないというか、そういう気持ちがあったんですけど、とにかく監督に『声を高くしてくれ』って言われて、自分の出る限界のキー狙いながらやらせていただきました」と振り返った。
■受賞一覧
作品賞:「ぼくが生きてる、ふたつの世界」(呉美保監督)
監督賞:入江悠監督「あんのこと」
主演男優賞:吉沢亮「ぼくが生きてる、ふたつの世界」
主演女優賞:河合優実「あんのこと」
助演男優賞:綾野剛「まる」、森優作「ミッシング」
助演女優賞:忍足亜希子「ぼくが生きてる、ふたつの世界」
ドキュメンタリー賞:「大きな家」(竹林亮監督)
新人監督賞:山中瑶子監督「ナミビアの砂漠」
新人男優賞(南俊子賞):齋藤潤「カラオケ行こ!」、本山力「十一人の賊軍」
新人女優賞(小森和子賞):長澤樹「愛のゆくえ」
脚本賞:甲斐さやか「徒花‐ADABANA‐」
編集賞(浦岡敬一賞):田端華子「ぼくが生きてる、ふたつの世界」
松永文庫賞(特別賞):東映剣会
ダイヤモンド大賞(淀川長治賞):草笛光子「九十歳。何がめでたい」
◆取材・文=山田果奈映

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