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 日本では初夏にかけ、カルガモの親子が行列を作り、住宅地や道路を通るのが風物詩となっているが、アメリカ・テキサス州で見かける動物親子の行列はその種類からして一味違った。

 なんと、アルマジロの母親が子供たちを引き連れ道路を横断していたのである。

 車で自宅から職場に向かう途中、偶然その光景を目撃した女性は、その珍しい親子行列の姿を映像に収めた。子アルマジロの数は全部で7匹もいたのだ。

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アルマジロの親子が一列に並んで道路を横断

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 職場に向かう途中、この微笑ましい光景を目にしたのは、テキサス州在住のアマンダ・ウォルディングさんだ。

 車を走らせていたところ、道路を何かが横切るのが見えた。

 最初はアライグマかオポッサムの親子かと思ったというが、近づいてみてその正体に驚いた。

 なんとアルマジロの親子だったのだ。

 ウォルディングさんは思わず車を停めてスマホを構え、この珍しい光景を動画に収めた。

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 母親の後について歩いていたのは6匹の子アルマジロ。だがもう1匹、勇気が出せずみんなについていけない子が道路の反対側にいる。

texasparkswildlife[https://www.instagram.com/p/DKkSWZ1uI6h]

 アルマジロのお母さんは1匹だけついてこられないことに気が付き、最終的には7匹の子アルマジロ全員が無事に道路の向こう側に渡ることができたという。

 テキサス州にはアルマジロの一種、ココノオビアルマジロ[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%82%B3%E3%83%8E%E3%82%AA%E3%83%93%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%9E%E3%82%B8%E3%83%AD]が生息しており、州の動物として認定されている。

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 なのでココノオビアルマジロの出没自体は珍しいことではない。草地や森、時には住宅地の近くにも姿を現す。

 だが、ウォルディングさんはこの親子が特別であることに気が付き、テキサス州立公園野生生物局[https://www.facebook.com/texasparksandwildlife/]に伝えることにした。

普通なら子供は4匹、なぜ7匹?

 野生動物局はウォルディングさんの撮影した映像をInstagramに投稿し、このようにコメントした。

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1、2、3、4、5、6…え、何?
テキサスアルマジロは、いつも一卵性の四つ子を産むんです。でも、このお母さんには7匹の子どもが。これは珍しい!

 ココノオビアルマジロの大きな特徴のひとつが、多胚生殖(たはいせいしょく)という出産方法だ。

 これは、1つの受精卵が分裂を繰り返し、同じDNAを持った4匹の赤ちゃんになるというもの。つまり一卵性の4つ子が標準だ。

 この現象は哺乳類の中でも非常に珍しく、「毎回確実に4つ子が生まれる」のはこのココノオビアルマジロだけとされている。

 そんな彼らが7匹の子どもを連れていたというのは、ちょっとした事件レベルで、これには専門家たちも驚いた。

texasparkswildlife[https://www.instagram.com/p/DKkSWZ1uI6h]

 いったいなぜ7匹の子を連れていたのだろう?

 専門家によると、その理由として考えられているのが、何らかの要因で通常の分裂より多くの胚ができてしまった可能性だ。

 非常にまれに起きることがあるという。

 もうひとつは、他の母親が育てきれなかった赤ちゃんを、このアルマジロが引き取って育てている可能性だ。

 アルマジロは基本的に単独行動を好むが、状況によっては孤児を保護するような行動を見せることもある。

 日本なら、アルマジロが道路を歩いていること自体珍しいのだが、子供の数が7匹という点で、テキサス州でも珍しい光景だったようだ。

 ちなみにココノオビアルマジロは、川で泳ぐ際の浮力を得るために腸を空気で膨らませることが出来る唯一の動物なのだそうだ。

 最大で6分間呼吸を止めたまま川底を走ることができ、垂直に90-120cmの跳躍をすることもできちゃうそうだ。

追記:(2025/06/11)本文を一部訂正しました。

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