
エース級の働きを見せる菅野。その存在は価値を高めている。(C)Getty Images
レギュラーシーズンの地区優勝争いが本格化する中で、各球団のポストシーズンに向けた“強化”も水面下で動き始めている。
今季のトレードのデッドラインデー(7月31日)が迫る中、注目を高めているのは、ドジャースの補強動向だ。いまだナ・リーグ西地区の首位を守っている“銀河系軍団”だが、投手陣に故障者が続出。とくにタイラー・グラスノーやブレイク・スネル、佐々木朗希らを欠く先発陣は深刻な駒不足に陥っており、チーム防御率もメジャー30球団中27位の5.25にまで落ち込んでいる。
現地時間6月7日には、トニー・ゴンソリンも戦線を離脱。柱となるのは、山本由伸のほかには、故障明けのクレイトン・カーショウとダスティン・メイのみ……。開幕時に想定されたローテーションをまともに組めずにいる。
そうした苦境にあって白羽の矢を立てられているのは、菅野智之だ。
オリオールズでルーキーシーズンを送っている今季は13試合に先発して、5勝(4敗)、防御率3.23、WHIP1.10と上々の成績をマーク。6度のクオリティースタート(6回以上、自責3以下)をマークし、体力面の懸念もここまでは感じさせていない。
もっとも、オリオールズは開幕から成績が低迷。現地時間6月11日の試合終了時点で26勝39敗と大幅に負け越し、ア・リーグ東地区の単独最下位に沈んでいる。もはや地区優勝争いはもちろん、ポストシーズン進出争いからも脱落寸前のチーム状況を考えれば、再建に向けて単年契約の菅野を放出する可能性は大いにある。
ドジャースにとっても1年1300万ドル(約20億円)の年俸はさほど負担にはならない。そのため、先発陣の穴埋めという強化ポイントにも合致するベテラン右腕の獲得に動き出す可能性は米メディアでもしきりに論じられている。米誌『Sports Illustrated』はオリオールズの現状をふまえ、「売り手であるという厳しい現実を受け入れる準備ができていないかもしれないが、プレーオフ進出の可能性が極めて小さいことを考えると、その方向に向かうしかない」と断言。そして、菅野放出の可能性を伝えている。
「シーズン終了後にフリーエージェントとなるトモユキ・スガノ、ポストシーズンでの優勝を狙うチームにとって大きな価値を持つ。スガノは日本で見せた的確な制球力はそのままに、わずか11四球、与四球率3.9%という驚異的な数字を残している。仮にトレード市場で売り手として出しても、十分な見返りを得られるだろう」
また、米メディア『Clutch Points』は「ドジャースの開幕ローテーションで健在なのは、ヤマモトだけだ」と強調。その上で、「35歳という年齢で(MLBでの)ルーキーシーズンを迎えたスガノは、ロースターの中でも数少ない明るい材料となり得る」と予測し、「オオタニらの存在も彼が新チーム(ドジャース)になじむ上で大きな助けとなるだろう」と論じた。
ワールドシリーズの連覇を目論むドジャースにとって、先発の安定は絶対条件でもある。それだけに菅野が、大谷翔平、山本由伸、佐々木らとの電撃共闘を果たすかは実に興味深いところだ。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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