
この記事をまとめると
■ランチアが「イプシロンHFラリー4」にてラリー界に復帰した
ランチアがラリーに復帰
タルガ・フローリオにランチアが出走! などと聞けば、レース好きでなくとも血が騒ぐというもの。ですが、ちょいとお待ちを。ランチアはランチアながら、ステランティスが作ったランチア・イプシロンだし、タルガだって新しい「ラリー・タルガ・フローリオ」という名前負けしそうなレース。
イプシロンHFなんて勇ましいネーミングはあるものの、果たして我々が心躍らせた「ラリーのランチア」が再来したと喜んでいいのか悪いのか。そもそも、マルティーニもどきのカラーリングからしてあざとい気がするんですけどね(笑)。
ともあれ、ランチアがラリーに復帰するのはまぎれもない事実。参戦車両は2024年に発売されたイプシロンをベースにラリー4というカテゴリ向けにカスタムされた「イプシロンHFラリー4」というFF車。1.2リッター3気筒ターボエンジン(約215馬力)を搭載しており、ストックのイプシロンが同系統のエンジンで100馬力といいますから、なかなかのパワーアップ。LSDやハードなサスペンションのセットアップは、ランチア・デルタでWRCを2度も制覇したミキ・ビアシオンが担うという「わかっとる」感もあるようです。
ところで、イプシロンのスタイリングは2023年に物議を醸したコンセプトカー「Pu+Ra HPE」に沿ったものですが、ご覧のとおりスポイラー的なリヤエンドに配されたテールランプは見紛うことなくストラトスへのオマージュかと。
受け取り方次第ですが、古くからのランチアファンには悲喜こもごもではないでしょうか。
ワンメイクレース「トロフェオ・ランチア」も開催
車名の4は4WDとかクワトロバルボーレ(4バルブ)とか一切関係なく、ラリー4カテゴリーの4とか、ステランティスグループが掲げた4つのトピックス(高級家具のカッシーナとコラボしたとかなんとか)に引っかけただけ。発表時のプレスリリースには、ルーフにデカデカとゼッケン風に4が入っていたので、期待した方にとっては肩透かしもいいところ。
肩透かしといえば、ビアシオンが試走を重ねているテストカーのマルティーニ風ストライプも古くからのランチアファンにとってガッカリするポイントかもしれません。なにしろ、イプシロンHFラリー4にマルティーニのスポンサーはついておらず、いわゆる「なんちゃってマルティーニ」。イタリアはこういうところのセンスだけはよかったのに、ステランティスになるとどうも、こう中途半端というかモヤモヤしちゃいますよね。
もっとも、2025年5月に開催されたラリー・レッジョーネ・ピエモンテでデビューすると、いきなり3位入賞という実力を見せてくれました。このスパルコ・イタリア2輪駆動イタリア選手権は、国内格式とはいえ公式レースですから、ランチアにとっては久しぶりの栄誉といえるはず。
なお、このラリー前にイプシロンHFラリー4は90台以上が売れたとのことで、なんだかデルタ・インテグラーレの再来かのような人気ぶり。なお、価格は7万4500ユーロ(約1225万円)と、ラリートリムのマシンとしては標準的かと。
また、前述のとおりタルガ・フローリオ・ラリーではランチア・イプシロン・ラリー4 HFを用いたワンメイクレース「トロフェオ・ランチア」を開催。ローマやサンレモといったラリーファンにはお馴染みのルート(コース設定は異なります)を使い、全5戦が用意されているとのこと。さらに、賞金総額36万ユーロ(約6000万円)といいますから、ステランティスも太っ腹なところを見せています。
久しぶりのラリーランチアに対して「これじゃない」的な辛口で進めてきましたが、やっぱりHFのマークがラリーコースを走っている姿には高まるものがあります。夕闇のなかで、イプシロンのテールランプを見れば「ス、ストラトス通ったのか⁉」みたいな興奮だってあるかもしれません。
ここは意地悪な姑みたいな気もちでなく、新生ランチア・コルセに期待してみるのもまた一興となるのではないでしょうか。

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