
今年4月、日本を訪れた外国人の数は初の390万人超え。多くのインバウンド客が日本を楽しんでいる。そうした中、ある問題が…それは「街のごみ」。外国人観光客に話を聞いてみると、「ごみ箱がなかなか見つからない」「どこに捨てたらいいか分からないのは煩わしい」との声があがっている。公道にごみ箱を設置していない新宿区に確認すると、その主な理由は「ごみ箱があることで、ごみを呼んでしまうことへの懸念」だという。
【映像】“茨城のフリーザさま”が街を綺麗にする様子(実際の映像)
そうした街のごみ問題を解決すべく、立ち上がった“ヒーロー”がいる。訪れたのは千葉県柏市。人通りが多い駅前には“悪の帝王”のコスプレをしてごみ拾いをする人の姿が…。茨城県に住む男性、通称「茨城のフリーザ」さんは、4年前から週5日ほど街でごみ拾いをしている。「誰かが拾わなきゃいけないとダメだし、今の日本のごみの量はやばすぎる。だったら目立って拾った方がいいんじゃないかなと思って、この格好で拾い始めた。ごみを滅ぼしております」。
茨城のフリーザさんは、高校生のときに参加したごみ拾いイベントをきっかけにごみ問題に関心を持ち、この活動を始めた。長年の活動で、今では街の人気者となり、活動を支えてくれる人もいるそうだ。その活躍もあり、今、仮装をしてごみ拾いを行う“街のヒーロー”がたくさん生まれているそうだが、根本的な解決はできないのか。『ABEMA Prime』では、解決の糸口を専門家と共に考えた。
■海外と日本の違い

総合地球環境学研究所の浅利美鈴教授は、大前提として「1970年代から考えると、日本はごみが減ってると思う。ポイ捨ても含めて、街はすごく綺麗になってる」との見方を示すが、「それでも目に付くごみは、衛生的に良くなかったり、景観上も悪くなる。最近では特にプラスチック類が多いので、それがマイクロプラスチックになり、生き物が食べて死んでしまったり、具体的な影響に結びつくところもあると思う」と語る。
海外と日本の違いについては「家庭から出るごみを自治体が集めるのは、日本の法律としてやっている。そこのストレスは感じないと思うが、観光地や公共の場所は結構グレーゾーン。家庭、個人、事業者のものも出てくるので、そこを誰が責任持って回収するのか。それに比べ、海外はあまり家庭のものを集めなかったり、できるだけごみ箱を設置して集めるので、法律上の違いもあると思う」との考えを述べた。
■スマートごみ箱導入の例

ごみ箱を増やして改善した例もある。京都市では約300基のごみ箱を設置し、一部にはスマートごみ箱「SmaGo」も。「SmaGo」は、ごみが溜まると自動で圧縮し、通常より約5倍のごみを収容可能で、匂いが漏れづらく動物も入れない。表参道駅から原宿駅までの道沿いにも34基設置されているという。
浅利氏は、「環境省も連携して、各観光地で、もっとAIやDXを利用してやっていく流れで、その代表例がスマートごみ箱。最近、高速の駐車場にもあるが、活躍しそうだというのは見えてきている」とコメント。
■解決の糸口は?

浅利氏は、最適解について、「日本は世界に比べると綺麗なので、そういう自力ができたのは世界にもっと発信するべきだと思っている。それでもまだ、日本では解決すべき問題なので、個人的には罰則したい。しかし、根本的に日本人のマナーや『お天道さんが見てる』などの感覚も結構大事じゃないか」と話す。
インバウンド客については、「言語の壁は結構大きい。外国人の方を観察してると、決してポイ捨てしたいと思ってるわけじゃない。京都の街を歩いてて、『ここはダメですよ』『こっちに入れてください』と英語で言えたら、コミュニケーションが進む場面は結構ある。その点、万博会場はかなり頑張っている。ごみ箱の前に必ず1人スタッフがついてるので、ちゃんと分けてたり、給水スポットも100人の列ができてたりする。やっぱりルールを作った後、『理解してもらう』、『説明する』、その一押しでだいぶ変わると思う」と述べた。
(『ABEMA Prime』より)

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