5ドアのノマドがあるなら3ドアいらんでしょ! 3ドアの「ジムニー&シエラ」ピンチ……かと思いきやそうでもなかった

この記事をまとめると

■3ドアのジムニーには5ドアのジムニーノマドにはない長所がある

ジムニーノマドの5.7mに対し3ドアのジムニーは4.8〜4.9mと最小回転半径が優れる

■ふたり乗車時に限った場合の荷室の使い勝手は3ドアのほうがいい

ジムニーノマドの最小回転半径はシビックと同じ5.7m

 現行4代目のデビューから7年が経過しているにもかかわらず、いまなお高い人気を維持し続けている、スズキの小型本格オフローダー「ジムニー」シリーズ。

 2025年1月30日に国内向けモデルが発表された「ジムニーノマド」(以下ノマド)は、そのわずか4日後の2月3日、約5万台の受注を得たとして注文受付を一次停止。5月30日には、インドにあるマルチ・スズキ社のグルガオン工場での生産を、従来の目標販売台数1200台に対し3300台へ増産し、早期の受注再開を目指すことを発表している。

3ドアのジムニーにはノマドよりも勝っているところがいくつもあった

 だが、仮に受注が早期に再開されたとしても、これからノマドを注文すれば、早くとも納期は2年弱。それならば、現時点で半年から1年ほどといわれる3ドアの「ジムニー」(軽自動車、以下ジムニー)あるいは「ジムニーシエラ」(登録車、以下シエラ)をあえて選ぶという手は、十分にアリではないだろうか?

 しかし、こうした現状を抜きにしても、5ドアのノマドにはない3ドアならではの長所は、少なからず存在する。当記事では両者を比較し、それらを明らかにしていきたいと思う。

 筆者が最初に挙げたいのは、小まわり性能。もっと具体的にいえば、最小回転半径だ。ノマドの5.7mに対し、シエラは4.9m、ジムニーは4.8m。この差は余りにも大きい。

3ドアのジムニーにはノマドよりも勝っているところがいくつもあった

 ジムニーで4.8mという数値は、軽自動車としてはやや大きめではあるものの、5mを切っており、車庫入れはもちろんUターンなどでも極めて有利なのは間違いない。

 しかし、ノマドは5.7m。この数値は、CセグメントのFF車でも悪いほうに挙げられるホンダシビックと同じ(標準車。「タイプR」は5.9m)だ。従って、全長3995mm・ホイールベース2590mmという寸法から想像するよりも、狭い場所での車庫入れやUターンの難易度は遥かに高い。この事実こそが、ノマドの購入を真剣に検討していた筆者を大いに躊躇させる、最大の理由となった。

まだまだある3ドアが優れているポイント

 もうひとつの長所は、ふたり乗車時であれば、荷室の使い勝手は3ドアのほうがいいことだろう。3ドアの後席はシートアレンジを優先して設計されているため、座り心地はそれなりだが、背もたれを倒した際に傾斜が残らず、荷室の床面が完全にフラットになるのが大きなポイント。

3ドアのジムニーにはノマドよりも勝っているところがいくつもあった

 しかも、ジムニーの廉価グレード「XG」を除けば、荷室床面と後席背もたれ背面が樹脂製となる「防汚タイプラゲッジフロア」が標準装備されるため、汚れ物や重い荷物を出し入れしやすいのも要チェックだ。

 なお、荷室の奥行きはノマドの4人乗車時が590mm、ふたり乗車時が1240mmで、シエラとジムニーの4人乗車時が240mm、ふたり乗車時が980mm。しかし、ノマドは、ディーラーオプションの「ラゲッジボックス」を装着しなければ大きな段差が残るうえ、装着しても後席背もたれを倒した床面に強い傾斜が生じる。そのため、細々とした荷物を多く積む際はとくに、シエラとジムニーのほうが安定した状態で荷物を置きやすくなるのは間違いない。

3ドアのジムニーにはノマドよりも勝っているところがいくつもあった

 そして、ジムニーシリーズの本領であるオフロードを走行するならば、ノマドよりもシエラやジムニーのほうが有利なのはいうまでもない。

 ノマドの全長3995mm・ホイールベース2590mmに対し、シエラは全長3550mm・ホイールベース2250mm、ジムニー3395mm・ホイールベースは同じく2250mm。この寸法の違いにより、ノマドとシエラ&ジムニーとで、ランプブレークオーバーアングルに、3度の差(25度→28度)が生じている。これが急斜面やロック路で、ホイールベース間をヒットするかしないかのわかれ目になる可能性は、十分にあり得るだろう。

3ドアのジムニーにはノマドよりも勝っているところがいくつもあった

 最後にもうひとつ、非常に重要な違いがある。それは、コストだ。

 まず車両本体価格だが、ノマドはモノグレード展開で、5速MT車が265万1000円、4速AT車は275万円。シエラは196万2000円(JL・5速MT車)〜218万3500円(JC・4速AT車)、ジムニーは165万4400円(XG・5速MT車)〜200万2000円(XC・4速AT車)。ノマドとジムニーとでは75万〜100万円近くの価格差がある。

 しかもノマドは登録車で、ジムニー軽自動車自動車税高速道路代などのランニングコストの違いは、長期間所有するほどボディブローのように効いてくる。この現実からは、目を背けるべきではないだろう。

3ドアのジムニーにはノマドよりも勝っているところがいくつもあった

 以上のように、ノマドが発売されたいまでも、あえてシエラやジムニーを選ぶ理由は少なからず存在する。これまでのクルマの使い方、あるいはジムニーを入手した後に実現したいカーライフ、そして収支を冷静に自己分析して、よりそれらにマッチしたモデルを選んでほしい。

3ドアのジムニーにはノマドよりも勝っているところがいくつもあった

3ドアのジムニーにはノマドよりも勝っているところがいくつもあった

3ドアのジムニーにはノマドよりも勝っているところがいくつもあった

3ドアのジムニーにはノマドよりも勝っているところがいくつもあった

3ドアのジムニーにはノマドよりも勝っているところがいくつもあった

5ドアのノマドがあるなら3ドアいらんでしょ! 3ドアの「ジムニー&シエラ」ピンチ……かと思いきやそうでもなかった