
誰が見ても可愛いと思うように
スズキは『ワゴンRスマイル』を商品改良。その方向性は『可愛いをブースト』だという。そこで開発責任者とデザイナーにその思いを聞いた。
【画像】可愛さブースト?商品改良を受けた新型スズキ・ワゴンRスマイル 全62枚
今回の改良では、ナチュラルで程良い個性がある優しい可愛さを追求したデザインを求め、ナチュラルユニークをコンセプトにした。その背景について、開発責任者であるチーフエンジニアの高橋正志さんはこう語っている。
「スペーシアは背が高くて運転しにくい感じがするという声があったことから、背のそれほど高くないスライドドア車のワゴンRスマイルは、男性にも購入されるだろうと考えていました」
しかし、購入者のほとんどが女性だった。
「男性はおそらくスペーシアカスタムなど、立派で豪華で格好良い方向だったのですね。よくよく考えると、そういうコメントの多くは女性なんです。ですから圧倒的に女性に売れました」
そしてそういったユーザーから、「もっと可愛く、はっきりした色ではなく淡い色、パステル系、くすみ系が欲しいという声が予想以上にありました」。
そこで高橋さんはデザインチームに、「好き嫌いはあってもいいが、誰が見てもまず可愛いと思うようにしてほしい。可愛くないよねとは言われないようにしよう」と要望を出すとともに、女性をメインターゲットに据えた。
ナチュラルさとユニークさ
ではデザインチームはどう対応したのか。スタイリングを担当した長谷川尚実さんはこのように話す。
「スマイルという名前がついていますから、ちょっと笑っているような自然な表情を取り入れたい。そうするとナチュラルさも出てきます。そして笑っている顔はやはり可愛いですよね。それがポイントになってるかなと思います。
ランプまわりやグリルにメッキが多く若干印象が強いという意見もありましたので、メッキを一部切ってCの字にして、グリル上部をボディ同色にすることで伸びやかさとともに柔らかい印象、ナチュラル感を表現しています」
ただし可愛いいを突き詰めると子供っぽくチャーミングになり過ぎてしまう。
「数を減らしてポイントでメッキを使っています。女性がイヤリングやピアスなどの光り物を取り入れることでおしゃれさを演出するイメージです」
同時にロアグリルの形状や内側へ向かう角度なども見直され、口角の上がった印象を持たせている。これがユニークさにもつながっている。
新色のトープグレージュを採用
ボディカラーでは新色のトープグレージュを採用している。CMF(カラー・マテリアル・フィニッシュ)を担当した山下百香さんは以下のように話す。
「ただのグレーでもベージュでもない、程よく個性を感じるような、だけどナチュラルで使いやすくてというイメージを追い求めて、少し紫がかったような上品さを感じるようなグレーを採用しました」
さらにこのカラーをボディに選びソフトベージュをルーフに、あるいはその逆で組み合わせることも可能だ。また、インテリアでは助手席前方パネルのカラーが変更された。まずリフレクショングレーについて山下さんはこのように話す。
「光が当たるとゴールドの粒子がキラキラ光って、少し偏光します。ナチュラルでありながらこだわりがあって、個性が感じられる色。それとカッパーのアクセントを合わせて個性を感じるように目指しました」
そしてモスブルーはカッパーではなくシルバー加飾と組み合わされる。
「少しスモーキーなブルーなので、マニッシュな少しクールな可愛さをカバーできると思います。この2色のパネルで幅広いお客様に訴求できるようにしました」
改良前のワゴンRスマイルは、可愛さはあるもののヘッドライトの印象がきつく、少々ギョロ目のようなイメージを抱いていたが、今回の変更を受け大きく印象が変わった。
フェンダーはキャリーオーバーしながら、ロアグリルの変更によりそこへ向かうラインの修正が行われ、非常にうまくいっているように見える。女性に向けたナチュラルな可愛さを市場がどう受け止めるか期待したい。

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