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 サイズの合っていないドライバーを手に、「……イケルだろ。」と謎の自信で挑んでネジ穴を潰し、外せなくなって後悔する……よくある話です。

 この連載でも、外せなくなったネジ用のアイテムをいくつか紹介してきましたが、この手の製品の多くは、そこそこ大きなサイズ向け。メガネや時計、ゲーム機ノートPCなどに使われている、小さな精密ネジには無力でした。

 しかしよく考えると、精密ネジはネジ穴が小さく、ドライバーのわずかなサイズ違いに気づかず使ってしまうことが多いもの。また、少し力を加えるだけで簡単になめてしまうため、ネジ穴を潰してしまってから、ドライバーのサイズ間違いに気づくことすらあります。つまり、小さな精密ネジは、不可抗力で外せなくなる確率が高いといえるのではないでしょうか。

 まあ、サイズ間違いに気づいていようが気づいていまいが、潰れた穴が元に戻ることはないですし、ネジは外れないんですけどね。

 そんななめてしまった精密ネジを外すツールとして、アイネックスの「なめた精密ネジはずし(+0ネジ用(M1~2.6))」(実売価格1400円)を紹介しましょう!

●先端の「刃」が食い込む!

 サイズは小さくなっているとはいえ、潰れたネジを外す原理は同じ。ビットの先端をネジ本体に食い込ませ、穴とは関係なくネジを回すというものです。そのため、ビットの先端は鋭い刃があり、ドライバーというよりも、ドリルのようになっています。

 正常なネジを回そうとすれば、ネジ穴を破壊してしまうのでオススメできません。あくまで、ネジ穴がバカになって外せなくなったネジに使いましょう。

 セットになっているハンドルは、プラスチック製。頭部のキャップは回転式となっているので、上から押さえ付けながらネジを回すのに向いた構造となっています。

 ハンドルへの取り付けは、ビットを挿し込むだけと簡単。少し固いので、刃先で怪我をしないように気をつけながら、奥までしっかりと押し込みましょう。白い帯の端まで挿し込めればOKです。

 ネジを外すコツは、しっかりと垂直に押し付けながらゆっくり左へ回すこと。説明によると、押し付ける力を【8】、回す力を【2】とするのがいいようです。空回りさせないことを意識すれば、うまく外せるでしょう。

 とはいえ、小さな精密ネジなので、そこまで固いことはそうそうありません。力いっぱい押し付けてビットの先端が欠けてしまう、グラグラと斜めになったまま回す、といったことにならない程度の押し付ける力で十分です。

 気持ちとしては、ネジをなめないよう慎重に作業するときと同じ感覚で回せばいいと思います。

●先が欠けたら……ブレードだけ交換できる

 もしもビットの先端が欠けてしまったら、ネジに食い込まず、期待通りの取り外し性能が発揮できません。こうなると買い替えしかないわけですが、ビット+ハンドルのセットは実売1400円前後と少し高いうえ、買い替えるたびにハンドルが増えていくという、ちょっともったいないことになります。

 実は、ビット先端のブレード部分は交換可能。ブレード単体だと実売300円前後(AK-23N-EX)とかなり安くなるため、買い替えるよりも気軽に交換できるのがうれしいですね。

 なお、ビットのサイズは6.35mmの一般的なもの。そのため、汎用のハンドルに挿し込んで使うこともできます。ビットも単体で販売されており(AK-23N-0)、価格は実売700円前後。力がかけやすい、自分好みのハンドルが既に手元にあるというのであれば、このビットだけ購入してもいいですね。

 ただし、浅くしか挿し込めない場合は、ガタツキやすくなるので気を付けましょう。

 ちなみに、電動ドライバーへの取り付けも可能ですが、押し付けながらゆっくり回すというそもそもの使い方を考えると、絶望的に向いていません。やめておきましょう。

●完全にダメになる前にこれで外す!

 小さい精密ネジは、ピッタリサイズのドライバー選びが難しいうえ、間違ったドライバーを使うと、ちょっと力をかけるだけでなめてしまいがちです。また、安い製品だと、そもそも出荷時からネジ穴が潰れている、なんてことも珍しくありません。中には、ユーザーによる分解をキライ、出荷時にわざとネジ穴を潰しているような場合だってあります。

 こういったネジを普通のドライバーで外そうとすると、高確率で空回りします。結果、さらに穴が広がり、外すのが絶望的になってしまうわけです。

 こういった悲劇が起こる前に、「なめた精密ネジはずし」(3610-N)を使ってネジを外し、正常なネジへと交換しておきましょう。どんな状態のネジでも外せる……というわけではないですが、少なくとも、普通のドライバーより外しやすいというのは間違いありません。

 現在進行形で慌てている人はもちろんですが、工具箱に1セット入れておくと、きっと将来役立ってくれるハズです。

●お気に入りポイント●

・なめやすい精密ネジが外せる!

・ブレードだけの交換が可能で経済的

・好みのハンドルが使える

「なめた…詰んだ…」を救う救世主、その名も「なめた精密ネジはずし」