
米大リーグ、ドジャースの大谷翔平選手が6月16日(日本時間17日)、本拠地ドジャー・スタジアムでおこなわれたパドレス戦に登板しました。
右肘手術からの復帰登板は1年10カ月ぶり。1回1失点ながら、最速100マイル(約161キロ)をマークし、復活を印象付けました。
そんな中、SNSでは「大谷のピッチングが見たいからテレワークにした」といった声が続出。働き方の柔軟化が進む今、「推し活」目的のテレワーク申請に法的問題はあるのでしょうか。もし理由を偽って申請した場合のリスクも含め、西口竜司弁護士に聞きました。
●「試合が見たい」は原則NG──「大谷の試合が見たい」という理由で、テレワークは認められるのでしょうか。
気持ちはよくわかります。大谷選手の二刀流復活は見逃せませんよね。ただし、原則として認められません。
テレワークは「業務の継続性」や「業務効率の確保」といった業務上の必要に基づいた制度であって、私的な理由、たとえば野球観戦などを目的とする申請は、制度の趣旨に反するため、会社は認めないのが一般的です。
また「観戦しながら本当に仕事ができるのか?」というモラルの問題もあります。法的に明確な禁止規定がない場合でも、業務のパフォーマンスの低下や同僚からの信頼喪失につながるおそれがあります。
●ウソをついて申請すると懲戒も──理由を偽って申請した場合、どんなリスクがありますか。
まず、信頼を大きく損ないます。そして場合によっては懲戒処分の対象にもなりえます。業務命令や申請内容に虚偽があった場合、就業規則違反として注意や戒告などの懲戒処分を受ける可能性があります。
また、「信用を損ねる行為」とみなされて、以降のテレワークや裁量の自由が制限されるおそれもあります。
●どうしても観たいなら有給を使う──注目度が高いだけに、どうしても観たいという人は多そうです。
そういうときは、有給休暇を活用しましょう!
「正直者が得をする」職場環境を守ることが信頼関係の土台となります。観戦したい予定がある場合は、堂々と有給を取得するのが、最も健全で合理的な方法です。
来年開催されるWBCでも同様のケースが予想されます。観戦したい試合がある場合、事前に業務調整やシフト変更を相談するなど、周囲に迷惑をかけない工夫も大切です。
【取材協力弁護士】
西口 竜司(にしぐち・りゅうじ)弁護士
大阪府出身。法科大学院1期生。「こんな弁護士がいてもいい」というスローガンのもと、気さくで身近な弁護士をめざし多方面で活躍中。予備校での講師活動や執筆を通じての未来の法律家の育成や一般の方にわかりやすい法律セミナー等を行っている。SASUKE2015本戦にも参戦した。弁護士YouTuberとしても活動を開始している。今年からXリーグにも復帰した。
事務所名:神戸マリン綜合法律事務所
事務所URL:http://www.kobemarin.com/

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