
コンセントの数が足りないときに、さっと差し込めば即・コンセントの数を拡張してくれる、縁の下の力持ちです。
でも、これがサーバールームの世界に入ると、まるで別物になるのです。
ラックに収まったサーバーやストレージ、スイッチなどに電源を供給するために使われる電源タップとして、近年増えているのが、「インテリジェントPDU」と呼ばれる電源タップ。
一見すると、ただの「大きな電源タップ」に見えますが、近づいてみると、LANポートを備えています。その中身は、ネットワークにつなげることで遠隔地からのリモート監視に対応し、電力の使用状況を細かく監視できるという、まさに「賢い電源装置」なのです。
インテリジェントPDUで、何ができるの?
PDU(電力分配ユニット:Power Distribution Unit)は本来、サーバーや機器に電力を分配するための装置です。しかし、インテリジェントPDUとなると、機能的に一歩進み、以下のような機能を持っています(機能は一例。必ずしも全ての製品が同じ機能を持っているとは限りません)。
リモートでの電源オン/オフ操作──サーバーがフリーズした場合など、現場に行かずに、該当ポートだけの再起動が可能です。
ポートごとの消費電力モニタリング──どのサーバーが、どれくらいの電力を使っているか、リモートで監視。
スケジューリングや負荷分散制御──夜間は一部の機器の電源を落とす、自動的に電力のピークを回避するといった制御。
「インテリジェント」であることが重要なワケ
現在、企業のITインフラは多拠点化していることも多く、エッジ環境にもサーバーやネットワーク機器が設置されるようになりました。
こうなると、人の手だけで電源状態を管理するのは、なかなか大変です。拠点数によっては、不可能といってもいいでしょう。特に障害対応の際、担当者が現地まで駆けつけて再起動する──そんなのんびりした対応では、ビジネスに大きな支障が出てしまうことも考えられます。
そこで登場するのが、このインテリジェントPDU。電源トラブルや過負荷などをいち早く検知し、遠隔で即座に対応できる体制を築くサポートしてくれるというわけです。
地味だけど超重要。だからこそ選ばれるようになっている
ITインフラにとって、電源は「止まったら終わり」な要素のひとつ。インテリジェントPDUは、そんな電源周りを支えるプロフェッショナルな機材です。
電源管理が「見える化」されることで、エネルギー効率の改善や、機器の状態の把握も容易にできるようになります。電力コストが増大し、効率的な運用が経営課題のひとつにもなり得る現代では、インテリジェントPDUは縁の下の力持ちというよりも、もはや主役のひとつかもしれません。
サーバーの電源タップは、ほとんどの人にとって、目の届かない場所で動いている存在かもしれませんが、その存在があるからこそ、サーバーは安定して動き続けられるんですね。
というわけで、インターネットに接続する「超巨大電源タップ」の正体は、遠隔でサーバーを操作したり、状態を把握するための「インテリジェントPDU」でした。
この記事の写真にも使用している摂津金属工業のウェブサイトも、ぜひ参考にしてください。

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