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 「就職人気ランキング常連の企業」や「高年収企業」として名前を聞くことの多い「キーエンス」。

 でも、こう思っている方も実は多いはず。

 「キーエンスって何の会社なの?」って。

 キーエンスは、製造業の現場で使われるファクトリーオートメーション(FA)機器の開発・販売を行っているBtoB企業。しかもそのやり方に、他社とはちょっと違う特徴を持っています。

 高収益を支えるのは、目に見える製品力だけではなく、現場密着、スピード、在庫体制、開発思想……そのすべてが「とことん顧客目線」で設計されているのです。

キーエンスのすごさは「開発×営業」モデル

 キーエンスの営業担当は、単に商品を売るだけではありません。現場を訪問し、「何に困っているのか」までを含めて把握し、その場で該当製品のデモを実施するところまでが基本のスタイルです。

 「どう設置すればよいか?」「本当にラインで使えるのか?」こうした疑問をその場で解消してくれる営業は、単に「売る人」というよりも“製品のプロフェッショナル”。製品を納品して終わりではなく、導入後も気軽に相談できる「頼れる存在」として、ユーザーに寄り添い続けます。

 販売体制にも特徴があります。

 キーエンスは、ユーザーとキーエンスが直接つながる直販体制を採用しています。これによって顧客は、見積もりがすぐ届き、製品の仕様もその場で確認できるなど、ロスが非常に少ないスピード感でサポートを受けられます。

 とくに製造現場は、「ラインが数時間止まる」だけで、すさまじい損失が発生することも。そんな時に「メーカーに聞いて折り返します」とは言っていられません。“即対応”こそが、ものづくりの現場では事業の存続に直結するんですね。

自社工場を持たず、リソースを集中させる

 さらにキーエンスは、自社工場を持たないファブレス経営を採用しています。

 商品の製造は信頼できる協力工場に委託し、社内では「企画・設計・品質管理・販売」など、付加価値の高い業務にリソースを集中させています。

 これによって、製品の特性に最適な工場を柔軟に選定でき、市場ニーズの変化にもスピーディに対応できるというわけ。ただし、すべてを丸投げするわけではなく、設計・品質・検査の重要ポイントは自社でしっかり管理し、キーエンス品質を守り抜いているのです。

 キーエンスをひと言で紹介するなら、「社会のバックエンドを支える、超高効率プロフェッショナル集団」ということになりますね。

AI/ナビ搭載 業務自動化RPA RKシリーズとは

 そんなキーエンス、Interop Tokyo 2025では、「AI/ナビ搭載 業務自動化RPA RKシリーズ」なるソリューションを展示していました。

 こちらは、同社が製造の現場で培ったノウハウを、PC業務の自動化に応用したソリューションです。

 「RPA」とは、PC上の操作を自動で代行してくれるソフトウェアのこと。たとえば、「毎日同じ帳票をExcelからPDF化してメール送信」「複数のシステムをまたいでデータを転記」「ウェブから決まった情報を取得して一覧化」といった、「人がやるには単調だけど、地味に手間がかかる作業」を、自動で、高速かつ正確にこなすためのシステムです。

 とはいえ、RPAは「設定が大変」「エラー対応が難しい」という声も多く、特に中小企業にとっては“導入しきれない”というハードルもありました。

 同社が展示していたAI/ナビ搭載 業務自動化RPA RKシリーズは、AIによる「作業ナビゲーション」を搭載。RPAの初心者でも、画面上の操作手順に従うだけで、自動化したい作業を直感的に登録でき、作業内容をAIが分析しながら最適な設定を提案するという設計になっています。

 製造現場の改善で磨いた実践力と現場力を、今度はデスクワークの世界へ。キーエンスは、「業務自動化の現場」でも確かな存在感を放ち始めているようです。

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