中途半端かいいとこ取りか? かつて日本でプチ流行した「タルガトップ」の中古事情を探ってみた

この記事をまとめると

■過去のものとなりつつある印象のタルガトップ

■これまでに数多くの日本車がタルガトップを採用してきた

■30年も前に電動開閉式のタルガトップを実現していたモデルもあった

ルーフをパカッと外してオープンカー気分

「タルガトップ」といえば、現行型のポルシェ911(992型)にも設定されているモデルをイメージする人が多いかもしれません。最近では過去のものとなりつつある感がありますが……。忘れないでください。かつて日本車にもさまざまなタルガトップを持つモデルが存在しました。せっかくなので「懐かしのタルガトップ7選」を振り返ってみましょう。

※この情報は2025年6月現在のものです(中古車情報サイト調べ)。

トヨタ・スープラ エアロトップ(A70)

・生産期間:1986年2月~1993年4月
・当時の新車の価格:197.9万〜397.3万円
・中古車の平均価格:396.5万円
・中古車の価格帯:166万~1570万円
※それぞれの価格はA70型スープラすべてのモデルを含みます。

 1986年2月にデビューしたA70型スープラ。「ナナマル」または「ナナマルスープラ」などと呼ばれることも。

開放感と爽快感が最高だったタルガトップの国産車がかつてはいっぱいあった

 ノーマルルーフと「エアロトップ」と名付けられたタルガトップ仕様がラインアップされていました。1987年1月にワイドボディ仕様が追加され、その後は1990年8月のマイナーチェンジ後も継続して設定され、人気を博しました。

トヨタ・スープラ エアロトップ(A80)

・生産期間:1993年5月~2002年8月
・当時の新車の価格:284万〜474万円
・中古車の平均価格:911.1万円
・中古車の価格帯:500万~1450万円
※それぞれの価格はA80型スープラすべてのモデルを含みます。

 1993年5月にデビューしたA80型スープラ。先代にならい「ハチマル」または「ハチマルスープラ」などと呼ばれています。6速MTや大型のリヤスポイラーの採用など、よりスポーツ色を高めたモデルとしてデビュー前から注目されていたモデルです。

開放感と爽快感が最高だったタルガトップの国産車がかつてはいっぱいあった

 デビュー時からエアロトップ仕様の設定があったものの、先代と比べてマイナーな存在に。1995年5月からはSZ エアロトップ(NAエンジン+AT)のみの設定となり、1999年8月にはエアロトップ自体が廃止となってしまったのです。

スバル・ヴィヴィオ T-top

・生産期間:1993年5月~1994年4月
・当時の新車の価格:119.8万円〜135.8万円
・中古車の平均価格:74.6万円
・中古車の価格帯:36.8万円~125万円

 富士重工業40周年を記念して1993年5月に3000台限定で販売したのが「ヴィヴィオ T-top」です。屋根が3分割されるほか、リヤウインドウ(電動で開閉!)を組み合わせることにより、クーペ、リヤオープン、Tバールーフ、オープントップ、フルオープンの5つのスタイルが楽しめるというユニークなモデルでした。

開放感と爽快感が最高だったタルガトップの国産車がかつてはいっぱいあった

 しかもリヤシートが装備されているため、名目上は4名乗車が可能という、実用性も兼ね備えた貴重なモデルなのです。

ホンダNSXタイプT

・生産期間:1990年9月~2005年12月
・当時の新車の価格:800.万〜1035.7万円
・中古車の平均価格:1152.9万円
・中古車の価格帯:689.9万~5900.0万円
※それぞれの価格はNSXすべてのモデルを含みます。

 1990年9月にデビューしたNSX(NA1型)。1995年3月に行われたマイナーチェンジ時にオープントップモデルと位置づけられた「NSXタイプT」を追加。重量が8.5kgというオールアルミ製ルーフを装備し、着脱は左右のレバー操作だけで行えるシンプルなもの。

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 トップをリヤキャノピー内に収納することでラゲッジスペースも確保されているほか、フロントピラーとフロントルーフレールの形状を工夫することでオープン走行時の風の進入を極力低減する工夫がなされています。

30年前に電動開閉式を実現していたモデルもあった

ホンダCR-Xデルソル

・生産期間:1992年2月~1998年12月
・当時の新車の価格:137万〜212.9万円
・中古車の平均価格:168.8万円
・中古車の価格帯:88万~299.8万円

 初代および2代目CR-Xから一転、オープンとクーペを1台で楽しめる2シータースポーツとして1992年2月にデビューした「CR-Xデルソル」。最大の特徴はボタンひとつで屋根を格納できる電動オープンルーフ「トランストップ」。トップグレードのSiRトランストップ仕様のみに設定されました(マニュアル式オープンルーフも設定されています)。

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 硬派な歴代CR-Xからかなり思い切った方向転換に賛否両論があったことも事実ですが、ホンダらしいチャレンジングなモデルであったことは確かです。

三菱RVRオープンギア

・生産期間:1991年2月~1997年11月
・当時の新車の価格:139.6万〜278.2万円
・中古車の平均価格:99.5万円
・中古車の価格帯:79.9万~380万円

「RVの三菱」としてイケイケだった1991年2月にデビュー。1993年8月には電動で屋根を収納できる「RVRオープンギア」を追加。3ドアのRV(現在のSUV)という立ち位置でもかなりユニークなのに、ボタンひとつでサンルーフとは比べものにならないほどの開放感が味わえたこともあって人気を博しました。

開放感と爽快感が最高だったタルガトップの国産車がかつてはいっぱいあった

 現役当時は人気を博したものの、現存する個体はごくわずか。絶滅危惧種ともいえる状況です。

番外編:スズキ・カプチーノ

・生産期間:1991年10月~1997年12月
・当時の新車の価格:145.8万〜158.6万円
・中古車の平均価格:122.8万円
・中古車の価格帯:45万~555万円

 スズキの軽オープン2シーターとして人気を博した「カプチーノ」は1991年10月デビュー。量産車としては世界初となる4とおり(ハードトップ、Tバールーフ、タルガトップ、フルオープン)の状態が楽しめるというユニークなモデル。

開放感と爽快感が最高だったタルガトップの国産車がかつてはいっぱいあった

 3速ATモデルが用意されましたが、5速MT+FR+ターボエンジンを搭載した軽スポーツカーとしてのニーズが高かったモデルだといえます。

まとめ:タルガトップはどっちつかず?

 タルガトップの代表格といえばポルシェ911。かつてCR-XデルソルやRVRオープンギアに装備されていたような「電動ルーフ」を装備しており、開閉ギミックのインパクトはカブリオレ以上です。しかし、ポルシェがこのギミックを導入したのはほんの11年前。2014年のことです。30年も前に実用化していた国産メーカーのすごさを改めて実感します。

開放感と爽快感が最高だったタルガトップの国産車がかつてはいっぱいあった

 サンルーフですらオプション設定されないモデルが増えつつあるなか、タルガトップという機構自体が絶滅危惧種といえるかもしれません。もし街なかで見かける機会があったら、独得のルーフラインに注目してみてください。タルガトップだからこそ表現できるルーフラインの美しさに感動するはずですから。

開放感と爽快感が最高だったタルガトップの国産車がかつてはいっぱいあった

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