RB26や13Bに匹敵する「名機」はあるのか? 現行モデルのなかから「将来伝説になりそう」な名エンジンを探してみた!

この記事をまとめると

■バブル期には伝説的な名エンジンが目白押しだった

■令和の「名機」と呼ぶにふさわしい現役エンジンを紹介

■NAエンジンもターボエンジンもいずれ伝説となるエンジンが存在している

1980年代に数々の名エンジンが生まれた

 すばらしく出来のよいエンジンのことを「名機」と呼ぶことがある。そして、名機の多くはファンからエンジン型式で呼ばれる傾向にある。

 たとえば第2世代スカイラインGT-Rに搭載されていた2.6リッターの直列6気筒ツインターボエンジン。「RB26」というたった4文字で、その天井知らずのポテンシャルを感じることができる。

 ほかにも、マツダRX-7ロータリーエンジンは「13B」という型式で十分に認知できるだろう。ホンダが初めてVTEC機構を採用した1.6リッター4気筒エンジンについても「B16A」という型式で知れ渡っている。トヨタのレビン/トレノに搭載された1.6リッター4気筒エンジンについても「4A-G」という型式が広く知られている。

令和の珠玉「シン名機」

 これら名機の共通点は国産スポーツカーに搭載されていたことだが、1980年代に生まれたという特徴もある。エンジンの進化がクルマの新しい価値としてアピールされていた時代だったからこそ、ファンはエンジンのメカニズムに着目し、その型式さえも覚えてしまったのだ。

 ひるがえって現在に目を移すと、多くのファンに型式で呼ばれるようなエンジンはほとんど見ない。はたして電動化が進む令和には内燃機関の魅力は削がれ、名機と呼ばれるエンジンは存在していないのだろうか。

 2025年6月時点で、メーカーの新車ラインアップに存在するモデルが搭載する「シン名機」と呼べるエンジンについて、独断と偏見で3機ほどピックアップしてみた。異論反論もあるだろうが、現代の「名機」について議論のきっかけになればと思う。

現代に存在する珠玉の名機たち

●ホンダ K20C(搭載モデル:シビックタイプR)

令和の珠玉「シン名機」

 ホンダにとってタイプR史上最強のスペックを誇る、2リッター4気筒エンジン。最⾼出⼒330馬力、最⼤トルク420NmというFF最強のスペックを誇る。このVTECターボを最初に搭載したシビックタイプRは2015年に生まれたFK2型(車両型式で呼ぶのもレジェンドモデルの証!?)で、そのときの最高出力は310馬力だった。

 2017年にフルモデルチェンジしたFK8型シビックタイプRでは320馬力、そして最新のFL5型では330馬力と、モデルチェンジごとに10馬力ずつパワーアップしている。

令和の珠玉「シン名機」

 排ガスなど環境規制が厳しくなっていくなかで確実にパワーアップしているのはホンダの意地と情熱の賜物だ。車両としての人気も高く、オーダーを入れることさえ難しい状況だが、内燃機関が許される限り、このエンジンは進化していってほしいと思う。

●レクサス 2UR-GSE(レクサスIS500、LC500)

令和の珠玉「シン名機」

 レクサスの源流といえるLSに搭載するために生み出されたといっても過言ではないV型8気筒「UR」系エンジンの、ハイパフォーマンスバージョンといえるのが「2UR-GSE」だ。5リッターの排気量を活かし、自然吸気ながら481馬力(IS500の場合)の最高出力を絞り出す。

 もともとは上級フィールを狙ったV8エンジンだが、チタン製の吸排気バルブ、鍛造クランクシャフトなどパフォーマンスにつながる改良を受けたこのエンジンは、レクサスファミリーにおいて多くのスポーティモデルに搭載されてきた。そのなかにはIS FRC Fといったスペシャルなモデルもあったことも伝説の一部となっている。

令和の珠玉「シン名機」

 いまや、IS500 F SPORT PerformanceとLC500しか新車搭載モデルはなくなってしまったが、未来へ語り継ぐだめに入手してほしいと思う現代の名機だ。もちろん、IS500で850万円という車両価格に手が届くならば……という条件をクリアしなければ手に入れることはできないのだが。

●トヨタ G16E-GTS(GRヤリス、GRカローラ)

令和の珠玉「シン名機」

「G16E」の型式で知られている1.6リッター3気筒ターボトヨタ渾身の一作。ご存じ、WRC直系のイメージで売っているGRヤリスの専用エンジンとして生まれ、いまではGRカローラにも展開されるなど、新時代のトヨタ・スポーツユニットとして位置付けられている。

令和の珠玉「シン名機」

 総排気量1618ccながらターボ過給によって304馬力の最高出力、400Nmの最大トルクを発揮するスペックは、まぎれもなくハイパフォーマンスエンジンといえるもので、伝説になることが約束されているともいえる。

 ただし、ドライブフィールが3気筒の薄っぺらさを感じさせる点は残念なところ。レジェンドとして語り継がれるためにはなんらかの演出もほしいところだが、そうした余計な味つけを排して、純粋に性能を追求しているところがG16E型エンジンらしさという見方もできそうだ。

令和の珠玉「シン名機」

令和の珠玉「シン名機」

RB26や13Bに匹敵する「名機」はあるのか? 現行モデルのなかから「将来伝説になりそう」な名エンジンを探してみた!