
日本ハムの北山亘基があと一歩のところでノーヒットノーランを逃した。
19日の巨人戦(東京ドーム)に先発した北山は最速155キロの直球、落差のあるフォーク、カットボール、チェンジアップなど交え、巨人打線を封じ込める。6回終了まで打者1人も許さない完全試合ペースで試合を進めた。
【動画】日本ハム北山は9回一死までノーヒットノーラン投球と圧巻のピッチングを見せた
7回二死から泉口友汰にフルカウントから四球を与え、完全試合が途切れたものの、その後もヒットを許さず、球場も異様な雰囲気に包まれた9回。一死後に打席にはこの日途中出場の大城卓三を迎えると2ストライクと追い込んだあとの4球目、139キロのフォークをライトスタンドに運ばれ、惜しくもノーヒットノーランにあと一歩届かなかった。
高めにホップするような勢いのある直球、山本由伸を彷彿とさせるような速いモーションから150キロ超を繰り出すとあって、巨人打線も1安打打つのがやっと。ホームランを許したものの、9回122球、1安打5奪三振1失点の圧巻ピッチング。完投勝利で今季5勝目、防御率は西武の今井達也を抜いて、1.15でリーグトップに立った。
試合後のヒーローインタビューでは、誠実さがにじみ出た。「ファンの皆さんの声援が凄い届いていたので、何とか(ノーヒットノーランを)達成したかったが、大城選手に良いバッティングをされて、凄く悔しい」と率直な感想も。その上で「皆さんからの気持ちが届いた。とても貴重な体験をさせてもらった」と4万2273人と熱戦を見届けた両球団ファンに感謝の気持ちを伝えることも忘れなかった。
大記録達成とはいかなかったが、「達成できなかったということはまだまだ勝負弱かったということ。もっと目標を高く持って、いつか達成できるように頑張っていきたい」と向上心を示した。
この北山のヒーローインタビューには、BS日テレで中継解説を務めた巨人OBの中畑清氏も、心を動かされた。「なんていい子なんだ。人間性が溢れていた。人として素晴らしいね!」と投球内容のみならず、その人柄にも称賛の言葉が続いた。
大卒4年目シーズンとなった今季は開幕ローテーション入りを果たすと、安定したピッチングで10試合を投げ8試合でクオリティスタートと、既に3試合で完投を達成。この日も9回に154キロをマークと無類のスタミナも光る。
21年ドラフト8位入団も新庄剛志監督がその才能を認め、ルーキーイヤーにいきなり開幕投手を託すなど、潜在能力の高さは認められてきた。すでに5勝をマークとシーズンを通して戦えれば、初の2桁勝利、タイトルも視野に入る。
いつかは、今回惜しくも叶わなかった偉業を達成へ。若き右腕の引き続きの活躍に期待したい。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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