
「幽霊は信じるけどUFOは信じない女子高生」と「UFOは信じるけど幽霊は信じないオタク男子」。そんな二人の出会いから始まる本作は、ラブコメ、ホラー、バトル、ギャグ、感動ドラマといったあらゆるエンタメ要素を詰め込んで、猛スピードのジェットコースターのように展開していく。TVアニメ「ダンダダン」は、2024年10月の放送開始以来、Xでは毎週のようにトレンド1位を獲得し、リアルタイムでファンが一体となって盛り上がった話題作だ。第2期が7月3日(木)より放送されるのを前に、ABEMAでは第1期全12話を6月21日(土)より無料一挙放送する。もしまだこのクレイジーで最高に面白い世界に触れていないのなら、それは非常にもったいない。第2期の放送が始まる前に第1期を観て、この熱狂の渦に飛び込むことを強くオススメする。“オカルト”と“青春”が暴れまわる、最高のエンターテインメントの世界を体験してほしい。(以下、ネタバレが含まれます)
■【魅力①】物語の核となる、不器用で愛おしい二人の恋愛ストーリー
「ダンダダン」の魅力の根幹にあるのは、モモとオカルンという二人のキャラクターに尽きるといっても過言ではない。霊媒師の家系に生まれたギャル・モモこと綾瀬桃(CV:若山詩音)と、いじめられっ子のオカルトマニア・オカルンこと高倉健(CV:花江夏樹)。住む世界が違いすぎた二人が、怪異との遭遇を通じて互いの本質に触れ、不器用ながらも惹かれ合っていく。
この王道にして普遍的な恋愛模様が、ストーリーを支え続ける。その描き方は極めて繊細で、とくに評価が高いのが、言葉以上に雄弁な“表情”描写だ。サイエンスSARUの卓越した作画は、なにもアクションシーンだけではない。二人のふとした瞬間の頬の赤らみ、心配そうに相手を見つめる潤んだ瞳、逸らされる視線といった、思春期特有の心の機微を驚くほど丁寧に捉えていて、視聴者の心を掴んで離さないのだ。
モモとオカルンについてはSNSでも「この二人、一瞬で好きになった」との声が多く、とくに第4話のラストで、 モモがオカルンに別れを告げる際、「バイバイ」を「また明日」と言い直すシーンは「これは反則」「キュン死した」「ダンダダンは最高のラブコメ」といった絶賛コメントで埋め尽くされた。そんな二人の関係は、安易な予定調和を許さない。ちょっと甘い雰囲気になりかけた瞬間に怪異に巻き込まれたりなど、なかなかすんなりとは進まないのだ。しかし、逆にその“じらし”こそが視聴者をより深く物語に引き込み、「この二人、尊い…」「早く告白しちゃえ!」と思わせてくれるのもたしか。ヤキモキさせながらも応援したくなる原動力となっている。
■【魅力②】常識破壊の映像体験!原作ファンも唸る超絶バトル作画
「このクオリティ、毎週やるの!?」。第1話の放送直後から視聴者を驚愕させたのが、サイエンスSARUによる常識外れの作画クオリティだ。原作漫画が元々持つ“とんでもない画力”を、アニメーションならではの色彩とカメラワーク、躍動感で見事に昇華させ、コアなアニメファンの度肝を抜いた。
なかでも特筆すべきは、感情とリンクするカオティックなアクションだ。ターボババア(CV:田中真弓)とのチェイスシーンでは、画面全体が赤みを帯び、主観視点を織り交ぜた激しいカメラワークで恐怖や緊迫感を演出するなど、ホラーとアクションを見事に融合させている。SNSで「作画カロリーが異常」「映画館で観るべきクオリティ」といった驚きの声が相次いだのも納得だ。
一方で、アクションとエモーションが美しく融合したのがアクロバティックさらさら(CV:井上喜久子)とのバトル。敵ながらも悲しい過去を持つ彼女がバレエを舞うシーンは、その作画の美しさ、滑らかさ、そして切なさが相まって、多くの視聴者の涙腺を崩壊させた。「神回」「涙なしには見られない」「戦闘シーンなのに芸術的」など、本作が単なるバトルアニメではないことを証明した話数となった。
■【魅力③】一度見たら忘れない!主役を食うほどエッジの効いたキャラクター
「ダンダダン」は、一度見たら忘れられない、エッジの効いたサブキャラクターの宝庫でもある。その筆頭がターボババアだろう。不気味なビジュアルと執拗な追跡劇は、視聴者に強烈なトラウマを植え付けたが、同時にその圧倒的なインパクトがSNSでミーム化。「ターボババアが夢に出てくる」「怖すぎて笑うしかない」といった投稿が溢れ、作品の知名度を爆発的に押し上げる起爆剤ともなった。
また、ファンキーなファッションに身を包むモモの祖母・星子(CV:水樹奈々)もインパクト大だ。普段はおちゃらけているけど、いざとなれば圧倒的な力で怪異を祓う姿には、「婆ちゃん強すぎだろw」といった声が多く寄せられ、絶大な支持を集めている。この他にも、登場キャラは基本的に誰もが濃ゆい面々ばかり。次はいったいどんなキャラクターが登場するのか、それだけでワクワクできる作品は貴重であり、きっとあなたの推しキャラも見つかるはずだ。
■【魅力④】ジェットコースターのようなスラップスティック・コメディ
恐怖と感動、恋愛のドキドキだけで終わらないのが「ダンダダン」だ。これら全ての要素を繋ぎ合わせ、誰でも楽しめるエンターテインメントに昇華させているのが、全編に貫かれるハイテンポなギャグコメディの精神。その真骨頂は、シリアスなシーンに突如として挟まれるシュールなギャグにある。
命がけのバトルの真っ只中に、どうでもいいことで口論を始めたり、あまりに突飛な方法で危機を脱したり。この緊張と緩和のとんでもないギャップは一貫していて、SNSでは「緩急の付け方がおかしい(褒め言葉)」「ホラーシーンのはずなのに爆笑してしまった」「感情が迷子になるけど、それが最高に面白い」といった声で溢れている。このスラップスティックなコメディ要素があるからこそ、ホラーが苦手な人でも楽しめるし、重くなりがちな設定でも暗くならない秘訣だろう。
第1期の最後は、モモが温泉で謎の男たちに襲われ、オカルンたちが家の奥に謎の空間を発見するという衝撃的なシーンで幕を閉じた。この先、二人の恋の行方はどうなるのか? 新たな怪異との戦いは? 第1期をおさらいしつつ、第2期を楽しみに待とう!
◆文=岡本大介

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