サラダや果物、刺身などの生ものが体によいと言われる理由をご存じですか?

ローカロリーということもありますが、大きな理由は、消化酵素が摂取できるからです。酵素は熱に弱く、加熱調理で失われてしまうので、生で食べるほうがヘルシーというわけ。

一方、体調の悪い時や、妊娠中は生ものをひかえたほうがいいとも言われています。

考えてみると、本来の中国料理には生ものはなく、必ず火をとおすメニューばかり。中国人が健胃で日本人に胃弱が多いのはこの違いという声もあるほどです。

じつは、世界中の文献を調べてみると、生野菜から感染する「糞線虫」という寄生虫と、ガン、糖尿病等の病気との関連など、生食の問題は数多く報告されているそうです。

バイオレゾナンス医学会理事長で矢山クリニック院長の矢山利彦氏によれば、病気を引き起こす原因のひとつに、日和見感染があるそうです。

生の食材や加熱されていない食品等には、腹痛や発熱、下痢などの症状を起こさないまでも、細菌や寄生虫などが付着していて、それを摂取することで日和見感染するのだそうです。

日和見感染すると、健康なときは問題ないのですが、ストレスや風邪、慢性疾患、悪性疾患があった際、生ものが体内に入ってくることで病原菌が増殖して悪さをするのだとか。

現代の臨床医学ではこのような潜在感染を今のところは問題視していません。しかし、矢山院長によれば、日和見感染が原因と思われる不調を訴える患者さんが現実的には多いといいます。

この事実に気付いたのは、家庭菜園でとれた野菜をサラダにしてたくさん食べているとか、無農薬の果物を食べているという、一見、体に気づかい健康的な食生活をしているのに、なぜか体調不良を訴えている人達がいたことがきっかけでした。

そこで、「生ものは食べないように」という指導とともに、感染症のための漢方薬を飲んでもらったところ、みなさん症状が治まったのだそうです。

では、「サラダは一生食べられないの?」ということになってしまうのですが、大丈夫です。

野菜を洗う際にちょっとひと手間くわえるだけで、糞線虫、トキソプラズマ、ニューモシスティスカリニなどの病原体を減らすことができます。

その方法は「50℃洗い」。これはもともと、蒸気技術の専門家である平山一政氏が提唱している方法で、生ものを50度洗いすることでアクがとれ、表面に付着している雑菌も激減し、美味しさや鮮度がアップするというもの。

先に酵素は熱に弱いと述べましたが、50℃では、ビタミン、ミネラル、酵素の損失はほとんどみられなのだとか。

50℃洗いの目安としては、葉物野菜なら50℃の温水で3分間ふり洗い。葉物以外の野菜や果物の場合は50℃の温水に、ミカン程度の大きさなら20分、リンゴ大のものなら30分つけおきます。漬物や刺身は(ビニールパックに入れて空気を抜き)30分つけおきます。

いずれも温度が43℃以下になると雑菌が発生しやすくなるので注意しましょう。

なお、矢山院長が提唱する上記の50℃洗い・50℃漬けは、糞線虫を減らすという観点から、通常の50℃洗いより時間がすこし長めになっています。

健康に気づかってサラダフルーツを食べているのに体調がいまいち。などという人はぜひ50℃洗いをためしてみてください。食材の美味しさもアップするので一石二鳥ですよ!

参考

『生もの卒業インタビュー 生もの、や~めた!! 12名の貴重な体験記』(矢山利彦・監修/株式会社コスミック・エナジー研究所)