「今後、にじさんじからの取材は受けません」──いわゆる“秘宝館”の一つ「八潮秘宝館」を運営する兵頭喜貴さんが6月20日に公開したブログ記事が、SNSで話題になっている。記事は、八潮秘宝館に関する動画を公開したバーチャルYouTuber月ノ美兎さんによる取材行為や、マネジャーの対応を批判するもの。記事の内容やその反響を受け、月ノさんは動画を一時非公開化。自身のXアカウントで経緯を説明、謝罪した。

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 兵頭さんは20日「今後、にじさんじからの取材は受けません。対等の立場で話せない相手とは絶縁です。二度と来ないで下さい」(原文ママ)というタイトルの記事を公開。動画制作に際する月ノさんによる取材や、後日マネジャーから送られたメールなどについて、以下のような問題があったと主張し、マナー違反と批判した。

1. 予約制にもかかわらず、月ノさんともう一人が開館日でない日に来館した。その日、兵頭さんは不在だったため、予約するよう伝えた

2. 後日、月ノさんが一人で来館したが、取材前提とみられるにもかかわらず、事前の取材申請がなかった。兵頭さんは、取材を受ける際、事前の連絡を求めている

3. 月ノさんがスマートフォンを隠し、同意なしに録音をしていた。兵頭さんは「Vチューバーならこういう話撮らないといけないんじゃないですか」(原文ママ)と指摘する形で暗に注意した

4. 取材後にマネジャーから送られてきたメールに非礼な点があった

5. 兵頭さんや月ノさんとは別に、たまたま同席していた人物がいた。月ノさんはこの人物にも取材をしていたが、本人に了承を取っていなかった

 兵頭さんは18日と19日にも月ノさんに関する記事を公開しており、これらの記事では、動画や月ノさんの対応を称賛していた。20日の記事でも「委員長(編集注:月ノさんのこと)が感じが良かったので、こちらの要望を無視して、無断取材して、勝手に商業利用しようとした件を不問にしてあげようと思っていた」としているが、マネジャーからの連絡で不快な思いをしたため、今回の記事を公開するに至ったという。

 Xやはてなブックマークでは20日朝から記事が話題に。当初、月ノさんをほめていたにもかかわらず、兵頭さんの態度が一転したことから、マネジャーの対応に関心が集まっていた。

 事態を受け、月ノさんは20日午後5時ごろ、にじさんじを運営するANYCOLORと相談の上、Xで経緯を説明。論点を(1)無断で八潮秘宝館を取材をした、(2)兵頭さんに無断で音声を録音した、(3)同席者に同意を得ず録音した、(4)マネジャーの連絡に非礼があった──という指摘に絞り、自身の見解を説明した。

 (1)については、兵頭さんから「動画にするつもりだったらしてもいい(自身が写真家であるため、写真ではなく動画であれば商用利用も可能)」「隠すものはないので、何でも撮影してよい」と伝えられたため、撮影を行ったという。

 八潮秘宝館への訪問自体は趣味によるもので、許可が得られなければ動画化は行わず、単なる見学にとどめるつもりだったといい、その旨は兵頭さんにも伝えていたとしている。

 (2)については、兵頭さんから「YouTuberなら今カメラを回すべきではないか」と伝えられた後に録音を開始しており、それ以前には行っていないと主張。スマートフォンを隠していたとする兵頭さんの主張については、そのような意図はなかったと説明した。

 (3)については、本人から「顔は映せないが、声は出してもよい」と伝えられたため音声を動画に使ったものの、兵頭さんに無断で録音したとの印象を与えたとしている。

 (4)については、兵頭さんが公開した記事の中に、個人の特定につながる情報があり、ANYCOLORが削除を打診したところ、今回のトラブルにつながったとの見方を示した。

 具体的に記事のどんな部分が問題になったかは明らかにしていないが、兵頭さんは18日の記事で、月ノさんが来館した際「中の人の氏名で予約していた」と記載していた。月ノさんは「VTuberという特性上、情報の扱いに関して当方からも配慮をお願いする場合があり、その説明が不十分だったことが原因で、ご不快な思いをさせてしまった」としている。

 月ノさんはXの投稿で、兵頭さんに対し「ご厚意で取材をさせていただいたのにもかかわらず、このようなことになってしまい申し訳ありませんでした」と謝罪。現在は動画を非公開化し、八潮秘宝館に関する部分をカットしている最中という。