
フェラーリ後輪駆動モデルで歴代最高の880psを発生
2025年4月にイタリアのマラネロで発表されたフェラーリ「296スペチアーレ」。発表から2カ月足らずで日本で初公開されました。高出力パワートレイン、軽量ボディ、そして優れた空力性能という3つのポイントを中心に開発されています。車両本体価格5911万円という296スペチアーレですが、一体どのようなモデルなのでしょうか。
技術と情熱が融合したハイパフォーマンスモデル
FERRARI RACING DAYS 2025(フェラーリ レーシング デイズ2025)が開催される前日、2025年6月20日に富士スピードウェイホテルにおいて、同年4月に発表されたばかりのミッド・リアエンジンのプラグインハイブリッド(PHEV)ベルリネッタの「296スペチアーレ」が日本初公開された。
“Speciale(スペチアーレ)”。イタリア語で「特別の」や「最良の」という意味の言葉だ。また、イタリアのスポーツカーブランド、フェラーリについてはスペシャルバージョンという特別な系譜に連なるモデルを指す。
296スペチアーレは、これまで販売されたチャレンジストラダーレ、「430スクーデリア」、「458スペチアーレ」、「488ピスタ」と同じようにドライビングの興奮と一体感において、フェラーリのプロダクションモデルはもちろん、セグメント全体でも新たなベンチマークを打ち立てるために生まれたモデルだ。
発表会場にはイタリアからフェラーリS.P.A. ヘッドオブブロダクトマーケティングのエマヌエレ・ランド氏が登壇。296スペチアーレに関して重要な数字があり、それは最高出力50psアップ、車両重量60kgの軽量化。そしてダウンフォースがプラス20%という3つであると語った。ここでは、3つの数字を中心に296スペチアーレを紹介する。
296スペチアーレは「296GTB」をベースに開発された。エクステリアのフロント部分ではレーシングカーのエアロ・ダンパー・コンセプトを取り入れ、フロント・アンダートレイとフロント・ボンネットをダクトでつなぎ、気流の一部をアンダーボディからアッパボディーへ導くことで、グラウンド・エフェクト効率性を高めている。
またフロント・ボンネットには296GT3の空力パッケージと同じように、両サイドに2組のルーバーを採用。これにより、フェンダー周辺に発生する強力な空気の力を利用して、タイヤハウス内の圧力を低減させる働きがあり、ドラッグとダウンフォースの両面に有効となっている。
296スペチアーレのリアボディでもっとも特徴的なのがサイドウィング。これはFXX-Kからは垂直フィンと小型ウイングを、296チャレンジからは外へ垂直に伸びたバンパー形状を取り入れひとつの構造体にまとめたものだ。
ほかにもリアの空力パッケージとして新しいディフューザーを開発。これはアンダーボディと協調して働き、気流の横方向への拡大を促進して、アクティブ・スポイラーがロー・ドラッグ仕様であっても、3つの排出口のベンチュリ効果を最大限に引き出している。これらのアイテムにより296スペチアーレが発生する総ダウンフォースは、時速250km/hで435kgとなり、これはベース車の296GTBの20%増となっている。
進化したV6ハイブリッドパワートレイン
搭載されているパワートレインは、296GTBに搭載されたV6ユニットの進化版で、システム総最高出力は50psも上まわる880psに達している。
3L V型6気筒ツインターボエンジンは、ベースの296GTBから37psアップの最高出力700psを発生。最大トルクは15Nmアップした755Nmとなっている。出力アップと同時にエンジンには軽量化が施されている鋳造品、コンロッド・ピストンアッセンブリー、スタッドボルトなどフェラーリのレースで培った経験が活かされ、エンジン重量は296GTBより9kg軽量化に成功している。
また、特筆すべきはエンジンのカーボン・フットプリント削減。鍛造品に再生アルミニウムを幅広く採用したことで、シリンダーヘッドやクランクケース、シリンダーヘッドといった構造パーツの生産に伴うC02排出量80%削減を実現した。
またV6エンジンと8速DCTのギアボックスの間に位置するMGU-Kモーターは、デュアルローターと中央のステーターで構成されたアキシャルフラックス型モーターを採用。電動システムは最大トルク315Nmを発生し、eマネティーノが「Qualify」モード。新エクストラ・ブースト・モードで6000~8500rpm時に最高出力180psを発生。この数字は296GTBを13ps上回っている。
また、eDriveモードでは、エンジンは停止し、モーターだけによるEV走行が可能。最高速度は時速135km/hを実現し、最長で25km走行可能だ。
8速DCTは、専用のシフトアップ制御プロファイルを採用。これにより変速時間を短縮してパフォーマンスを向上させ、シフトパドルの操作に対する反応時間を短縮することでドライバーとの一体感を最大限に高めている。高出力化したハイブリッドシステムにより、296スペチアーレの最高速度は時速330km/h、0-100km/h加速は2.8秒というパフォーマンスを誇る。
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