
北朝鮮で朝鮮労働党中央委員会第8期第12回総会拡大会議が21日から23日まで開催された。会議では今年上半期の総括と下半期の政策方向についての議論が行われたが、北朝鮮メディアの報道は異例なほど非公開の内容が多い。
会議の期間中にアメリカがイランの核施設を爆撃し、それを公表するなど、国際情勢が大きく揺れ動いたことから、北朝鮮がこれを意識したのではないかという見方も出ている。
朝鮮中央通信は金正恩総書記が重要演説を行ったと報じながら、その内容を伝えていない。労働新聞も同様だ。北朝鮮メディアが金正恩氏と演説内容を全て非公開にするのは極めて異例なことだ。韓国統一省は、金正恩氏が演説をしたにもかかわらず全文を公開しなかったのは今回が初めてだとしている。
ちなみに、5月に発生した新造駆逐艦の「横倒し事故」の責任追及もこの会議で行われると予告されていたが、これもまた明らかにされていない。
朝鮮中央通信はまた、今回の会議で今年上半期の政治・経済・文化・科学・教育・国防などの成果報告と討論が行われたと報じたが、具体的な内容にはいっさい触れていない。特に、議論された分野の中に「外交」がまったく含まれていなかった点が注目される。
非公開の部分が多かったため、報道自体も短かった。北朝鮮は2021年から上半期と下半期に分けて6月と12月に党全員会議の拡大会議を開催してきたが、今回の会議に関する報道は労働新聞の1面と2面だけにとどまり、これまでで最も短い内容だった。
会議が緊迫した国際情勢の中で行われたことを踏まえれば、外交分野についての議論がなかったとは考えにくい。
3日間にわたった会議では中東情勢やロシア・ウクライナ戦争、中国やロシアとの関係、トランプ政権の政策動向、そして韓国における李在明政権の発足などを踏まえて対外政策の方向性が論じられ、金正恩氏も演説で関連する指示を出した可能性が高い。
それを全面的に非公開にしたのは、ウクライナ戦争やイラン情勢など国際情勢が流動的であることに加え、「次はわが国かもしれない」といった趣旨の議論が交わされたからではないだろうか。
北朝鮮はトランプ第2次政権の発足後、対米関係において非常に慎重で抑制された立場を見せてきたが、今回はさらに対外メッセージの発信を異例なレベルまで控えた。これに対し、「アメリカのイラン爆撃を意識したものではないか」と分析する向きは韓国の専門家の間にも少なくない。

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