
任天堂は6月18日、『ドンキーコング バナンザ Direct 2025.6.18』を配信した。
参考:【画像】時代にあわせた進化でシリーズの転換点的作品に? 最新作『ドンキーコング バナンザ』のスクリーンショット
Nintendo Switch 2専用タイトルとして発売される「ドンキーコング」シリーズ最新作は、どのような体験を私たちに届けてくれるだろうか。本稿では、今回の配信で解禁となった新情報を踏まえ、『ドンキーコング バナンザ』のゲーム性を考えていく。
■シリーズ11年ぶりの新作が、Nintendo Switch 2専用タイトルとして登場
『ドンキーコング バナンザ』は、Nintendo Switch 2専用タイトルとして7月17日に発売される、「ドンキーコング」シリーズの最新作だ。舞台は、深さによって景色が一変する地下世界。黄金のバナナ「バナモンド」の発見に沸くインゴス島を訪れていたドンキーコングはある日、突如島を襲った大嵐に飲み込まれ、地下深くへと飛ばされてしまう。とにかくバナナが欲しいドンキーコングは、インゴス島で出会った「言葉をしゃべるふしぎな岩」とともに、「バナモンド」を奪った謎の組織「ヴォイドカンパニー」を追っていく。
『ドンキーコング バナンザ』は2025年4月2日、『Nintendo Direct: Nintendo Switch 2 - 2025.4.2』のなかでその存在が明かされた。6月5日に発売となった『マリオカート ワールド』に続くNintendo Switch 2専用のファーストパーティータイトルで、任天堂にとっては、同作と並んでローンチ期の看板に掲げるタイトルでもある。約1か月後のリリースを前に、界隈では期待感が高まりつつある現状だ。
対応プラットフォームはNintendo Switch 2のみで、価格は、パッケージ版が8,980円、ダウンロード版が7,980円(ともに税込み)。任天堂を代表するアクションシリーズから、11年ぶりの新作がまもなく登場する。
■“時代にあわせた進化”に感じた既視感
『ドンキーコング バナンザ Direct 2025.6.18』として配信された18分弱の動画では、さまざまな新情報が解禁された。『ドンキーコングの相棒と発表されていた「言葉をしゃべるふしぎな岩」が、特別な声を持つ少女・ポリーンであること』『パンチやローリング、ハンドスラップといったおなじみのものはもちろんのこと、「ひっこぬく」「ふりまわす」「なげる」など、多彩なアクションが用意されていること』「バナナを収集することで、新たなアクションの習得や能力アップが可能なこと」『ポリーンの歌声によって「コング」「シマウマ」「ダチョウ」といった姿に変身でき、固有のアクションを行えること』などはその一例だ。
また、フィールドの各地に点在する遺跡では、さらに多くのバナモンドを獲得できるチャレンジに挑戦できるという。番組内では、制限時間内に敵を倒し続けるステージや、ひらめきを駆使するパズルのようなステージ、懐かしい横スクロール型のステージなど、さまざまなものが確認できた。
さらに、フィールド上には、バナモンドと交換できる「バナチップ」、道具屋で冒険に役立つアイテムと交換できる「ゴールド」、アパレル店でファッションアイテムと交換できる「化石」など、バナナ以外にもさまざまなアイテムが落ちているという。うち、化石で手に入れられるファッションアイテムには、ドンキーコングやポリーンの見た目を変えるだけでなく、能力アップの効果も付与されているとのこと。同要素は、よくあるキャラクターをきせかえできる仕組みとは異なり、攻略にも重要な要素となっていくに違いない。
はたして『ドンキーコング バナンザ』は、どのような体験を私たちに届けてくれるのだろうか。注目すべきは、「ドンキーコング」には珍しい3Dアクションである点、持ち前の身体能力を生かして世界を駆け巡れる点、フィールド上のさまざまなオブジェクトにインタラクトできる点だ。これらにより、シリーズの体験は、「用意されたコースを決められた範囲内で遊ぶ」ものではなく、「広大なマップのなかでプレイヤーがそれぞれに楽しみ方を決める」ものに変化したと推測する。バナモンドや化石、ファッションアイテムといった要素には、「ドンキーコングを強化できる」という実用的な機能のほか、図鑑やクローゼットにコレクションするという楽しみ方も含まれている。一連の新たなゲーム性は、シリーズの“時代にあわせた進化”ととらえられるのではないか。
また、こうした変化にはある種の既視感もある。2017年3月、Nintendo Switchのローンチタイトルとしてリリースされた『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』(以下、『ゼルダの伝説 BotW』)には、従来の「ゼルダの伝説」シリーズとはまったく異なる体験が盛り込まれた。基本システムを過去の作品から踏襲する一方で、フィールドはオープンワールド化。目に映るさまざまなオブジェクトにインタラクトできるほか、多種多様な移動手段を駆使し、世界中を駆け巡れるようにもなった。
こうした変化にくらべると、「ドンキーコング」シリーズの過去作品と『ドンキーコング バナンザ』との差は、ややマイルドかもしれない。しかしながら、そこに存在する進化のアプローチは同種のものと言えるのではないか。『ゼルダの伝説 BotW』が前世代機でそうだったように、『ドンキーコング バナンザ』にも満を持して登場した新ハードの性能を世に知らしめる広告塔のような役割が、社内では求められているのだろう。その意味において、同タイトルは、任天堂のNintendo Switch 2時代における先行きをうらなう重要なタイトルとなる可能性もある。
他方、今作の主人公であるドンキーコングとポリーンのたたずまいや関係性、音楽の使われ方は、さながらディズニー映画のようでもある。ポリーンが歌声を武器にしていること、彼女の歌を介してドンキーコングが特別な姿へと変身できることには、劇伴に対する期待もふくらむ。今回配信された動画において、ボーカル付きの音楽が流れたことに胸を高鳴らせているファンも多いのではないか。過去作品でも好評を博してきたシリーズのBGMであるだけに、『ドンキーコング バナンザ』は、これまで以上にファンを魅了する音楽の世界を届けてくれるはずだ。
『ドンキーコング バナンザ』の登場によって、「ドンキーコング」はゲームフリークのためのいちアクションタイトルであることを脱却し、総合的なエンターテインメント性を帯びつつある。同タイトルはシリーズにとって、ターニングポイントのような作品となっていくのかもしれない。
『ドンキーコング バナンザ』は、心躍るような体験をフリークたちに届けられるだろうか。今回配信となった『ドンキーコング バナンザ Direct 2025.6.18』では、その確度の高さをあらためて感じさせられた。
(文=結木千尋)

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