
「ここ来たら無料でポップコーンを食えるんだよな」。映画館で撮影されたと思われる写真付きの投稿がSNSで注目を集めている。
写っているのは、大量のポップコーンが入った大きな箱。投稿には「これ知らない人が多いライフハックなんだけど」とも書かれているが、もちろんこれは悪ふざけのジョークと見ていい。
投稿者が指しているのは、映画館の上映終了後に館内に設置される「食べ残し回収箱」だ。あくまで捨てられたポップコーンであり、当然ながら衛生的に好ましいものではない。
この投稿には「博識なハト」など、ユーモアを交えたツッコミも寄せられている。
実際に口にする人はいないだろうが、もし本気で拾って食べたり、持ち帰ったりしたら、法的に問題はあるのだろうか。冨本和男弁護士に聞いた。
●食べ残しは「映画館」が占有している窃盗罪が成立すると考えます(刑法235条)。窃盗罪の保護法益は、被害者の占有、つまり財物を実際に支配している状態です。他人の財物を窃取した場合に成立します。
少しむずかしいですが、「他人の財物」とは、他人が占有する他人の所有物です。
今回のケースにあてはめていえば、食べ残しのポップコーンはお客さんが捨てた物ではありますが、映画館が占有する他人の所有物です。
また「窃取」とは、他人の占有する財物を占有者の意思に反して、自己または第三者の占有に移転させることを言います。
「食べ残し回収箱」の設置は、ゴミの分別のためだと思われますが、そこから持ち去ることは、占有者である映画館の意思に反する占有の移転にあたると考えられます。
窃盗罪が成立する場合、10年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金になる可能性があります。
【取材協力弁護士】
冨本 和男(とみもと・かずお)弁護士
債務整理・離婚等の一般民事事件の他刑事事件(示談交渉、保釈請求、公判弁護)も多く扱っている。
事務所名:法律事務所あすか
事務所URL:http://www.aska-law.jp

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