
Amazon MusicとAudibleの合同プレス発表会が6月25日、都内で開催された。このなかのトークセッションに新しい学校のリーダーズ、SUPER EIGHT・安田章大、小説家の平野啓一郎が登壇。“耳で楽しむ”エンターテインメントの可能性について語り合った。
参考:【写真】トークセッションに登場した新しい学校のリーダーズ、SUPER EIGHT・安田章大、平野啓一郎
Audibleは俳優や声優の朗読による小説などの音声コンテンツを配信しており、7月で日本のローンチから10周年を迎える。90万の作品数を武器に、2022年の聞き放題サービスの導入後は会員数が先月末までで166%、聴取時間が過去3年で7倍と着実にシェアを拡大。今後もオリジナルコンテンツの充実や村上春樹、東野圭吾ら大物作家との独占契約も進めていくという。
一方のAmazon Music Unlimitedも会員数が過去5年間で3倍増と好調で、26日からはAmazon Music Unlimited会員はAudibleの90万作品以上のオーディオブックに追加料金なしでアクセス可能になると発表。
トークセッションでは、Amazon MusicとAudibleそれぞれの可能性について3組のアーティストが語り合った。
楽曲「BABY」をAmazon musicで独占配信している新しい学校のリーダーズ・SUZUKAは、渋谷にあるAmazon Musicでのレコーディングを振り返って「スタジオが本当に素敵。雰囲気に持って行かれて、歌もよく乗った。またあの場所で録音したい」とコメント。自分たちの作品を広めるという意味でもプラットフォームにリスペクトがあるようだ。
自身の小説が何作もAudible化されている平野は「小説は活字の出版産業の発展とともに複雑な人間関係やストーリーラインを表現できるようになりましたが、それによって失われたものもあると思う」、「読むよりもリズムに乗せられていく部分が強い」、「聴きながら何かができるのは大きい」と“聞く”小説について語る。
安田は湊かなえ「夜行観覧車」のナレーションを担当したことについては「好奇心の湧く楽しさだった」としつつ、「『アイドルよりもAudibleが合っているんじゃないか』という感想をもらいました(笑)」と少々複雑そうな表情も。また「耳は敏感で色々な感情を引き出される器官。音を経て自分の感情が出ることがあるので、その点がAudibleの強み」と持論を展開。
Audibleと同じくグループが10周年を迎えるということで、自身も読書家だというRINは「安田さんだったりが耳元で物語をささやいてくれたら、もっと聴きたくなる。睡眠に入るメディテーションがあると人生が豊かになりそう」と期待を込めた。KANONは「国外での移動時間に利用したい」とのこと。
最後にSUZUKAが「新しいエンタメの概念が確立されていくかもしれない。自分たちが小さい子向けだったり、青春を語る本を朗読したら楽しいかもしれない」、安田が「人と人や国を繋げて、読み手の心を揺さぶるコンテンツになっていけば」とAudibleの未来を語った。
平野の「情報量に圧倒される映像とイマジネーションを膨らませる文字の間に音声コンテンツがある。気分に合わせて情報量のレイヤーを探って、それぞれが発見していくんじゃないかなと思います」という示唆に富んだ発言も光った。
活字からラジオへ、そして映像へ。物語メディアは時代の技術とともに形を変えてきた。今後は平野が言うように、文字/音声/映像の三層を、気分や状況に応じて選びとる時代になるのかもしれない。
その流れのなか「読み聞かせ」への回帰ともいえるAudibleがAmazon Musicとの連携でどう広がっていくのか楽しみだ。
(取材/文=小池直也)

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