気迫の投球でロッキーズ打線を寄せ付けなかった山本。(C)Getty Images

 土砂降りのデンバーで生まれた“恵み”の2点に何とか救われた。

 現地時間6月25日ドジャース山本由伸は、敵地でのロッキーズ戦に先発登板。5回(56球)を投げて、被安打1、与四球1、無失点、6奪三振の快投。ドジャースがスコアレスで迎えた6回に3点をもぎ取るなど8-1で勝利し、今季7勝目を飾った。

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 圧巻の内容で白星を手にした。序盤から一切ロッキーズ打線を寄せ付けなかった背番号18は、4シームではなく、多彩な球種を駆使して翻弄。両チームの投手の中でトップとなる11の空振りを記録して、貫禄の投球を披露した。

 結果的に大勝ではあった。ただ、山本に対する援護は“乏しかった”。舞台は「打者天国」とも評されるクアーズ・フィールド。平地と比べ打球は10%近く飛距離が伸びるとされ、MLBのありとあらゆるデータをまとめた『Baseball Savat』によれば、本塁打など各項目の球場ごとの偏りを表す数値指標『PF』は112と30球団断トツトップの値を叩き出している球場だ。

 大谷翔平の日米通算300号本塁打飛び出した前日のゲームでも、両軍14安打ずつの計28安打が飛び交った。そんな圧倒的打者有利の舞台でも山本が登板中に得たのは4安打と3得点である。しかも、マックス・マンシーの放った先制となる適時打は雨によってボールの行方を見失った二塁手のタイロ・エストラーダの“ミス”という見方もできた。

 もっとも、山本に対する“無援護”は今に始まったものではない。今季16登板で防御率2.61、WHIP1.05のハイスタッツが残しているのだが、彼が得た援護点数は「22」。これは80イニング以上を投げた先発投手では最低の数字だ。9イニングあたりの割合も「2.34」と、最低のパイレーツのミッチ・ケラー(2.11)をわずかに上回る値なのである。

 ここ最近の山本の登板時におけるドジャースの“援護点”を振り返ると、6点を得た現地時間5月26日ガーディアンズ戦以降では、1点、0点、1点、0点、2点……。先発投手としての役割を全うしながら、タレントが居並ぶ強力味方打線のサポートを得られていない実情がある。

 ちなみに今季に80イニング以上を消化している日本人投手たちの援護点割合を見ても、山本の見放され方は浮かび上がる。菅野智之オリオールズ)は3.98、菊池雄星エンゼルス)は3.61。いずれも最低2点は援護されているのである。

 助けを得られていない中でも淡々とスコアボードにゼロを刻み続ける山本。その仕事人ぶりは、改めて脱帽である。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

MLBが認める「打者天国」でも際立った無援護 被安打1の快投の裏で山本由伸の“孤立”を物語る「22」