
「侍タイムスリッパー」が、日本テレビ系の「金曜ロードショー」で7月18日に地上波初放送されることがわかった。
本作は、3月に開催された第48回日本アカデミー賞で、インディーズ映画として初めて最優秀作品賞を受賞した時代劇コメディー。幕末の侍が雷に打たれて現代の時代劇撮影所にタイムスリップし、理解不能な状況に戸惑いながらも、時代劇の「斬られ役」として第二の人生に奮闘する姿を描く。
通常の邦画の10分の1以下の制作費で、スタッフもわずかという逆境の中で制作され、公開時はたった1館のみの上映だったが、口コミで評判が広がり、全国380館の映画館で上映されるまでに拡大。興行収入10億円を超える大ヒットを記録し、社会現象を生み出した。
メガホンをとったのは、普段はビデオ撮影業のかたわら農業を営む安田淳一監督。自ら映画の製作、配給を事業とする「未来映画社」を設立し、47歳の時に撮影した自主映画「拳銃と目玉焼」(14)で長編映画デビューを果たした。
自主制作ゆえ、監督自ら制作資金の調達に奔走。しかし、コロナ禍という時期もあり資金集めが難航。諦めかけた監督に、救いの手を差し伸べたのは、"時代劇の聖地"東映京都撮影所(通称:太秦撮影所)だった。映画完成時の監督の口座残高はわずか7000円で、映画が当たらなければ農業も続けられないほど崖っぷちに追い込まれていたという。
主人公の会津藩士・高坂新左衛門を演じたのは、本作で初主演を飾った俳優歴26年の山口馬木也。同役は、ハリウッド映画「ラストサムライ」にも出演した"伝説の斬られ役"、故・福本清三さんからイメージを得て生み出されたという。高坂の敵役・風見恭一郎は、冨家ノリマサが務めた。
ヒロインの優子役は、「拳銃と目玉焼」でデビューし、安田監督作品には欠かせない俳優の沙倉ゆうの。俳優に加えて、撮影現場では助監督の役目もこなした。殺陣師・関本役は福本さんが演じる予定だったが、かつて同じ東映剣会に所属していた峰蘭太郎が、"斬られ役"の確かな技術と演技力で福本の代わりを務め上げた。
詳しい放送日時と作品情報、金曜ロードショーの今後の放送ラインナップは以下の通り。
【放送日時・作品情報】
7月18日午後9時~11時29分(放送枠35分拡大&地上波初放送)
監督・脚本・撮影・照明・編集 他:安田淳一
殺陣:清家一斗(東映剣会)
床山:川田政史(東和美粧)
時代劇衣装:古賀博隆、片山郁江(東映京都撮影所衣装部)
照明:土居欣也、はのひろし
山口馬木也、冨家ノリマサ、沙倉ゆうの
峰蘭太郎、紅萬子、福田善晴
井上肇、田村ツトム、安藤彰則、庄野﨑謙
時は幕末、京の夜。会津藩士高坂新左衛門は暗闇に身を潜めていた。「長州藩士を討て」と家老じきじきの密命である。名乗り合い両者が刃を交えた刹那、落雷が轟いた。やがて眼を覚ますと、そこは現代の時代劇撮影所。新左衛門は行く先々で騒ぎを起こしながら、守ろうとした江戸幕府がとうの昔に滅んだと知り愕然となる。一度は死を覚悟したものの心優しい人々に助けられ少しずつ元気を取り戻していく。
やがて「我が身を立てられるのはこれのみ」と刀を握り締め、新左衛門は磨き上げた剣の腕だけを頼りに「斬られ役」として生きていくため撮影所の門を叩くのであった。
【今後の放送ラインナップ】
・6月27日 「ルパン三世 カリオストロの城」(ノーカット)
・7月4日 「帰ってきた あぶない刑事」(地上波初放送)
・7月11日 「キングダム 大将軍の帰還」(午後7時56分スタート、地上波初放送・本編ノーカット
・7月18日 「侍タイムスリッパー」(地上波初放送)

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