職場で上司から理不尽な理由で怒られたり、友人とけんかをしてしまったりするなど、日常生活では嫌な出来事に遭遇することがあります。そんな日の夜に寝ようとした際、日中にあった嫌な出来事を思い出してしまい、眠るのに時間がかかったことはありませんか。就寝時に嫌な出来事を思い出してしまい、なかなか眠れないときはどうすればよいのでしょうか。対処法のほか、ついやりがちなNG行為などについて、上級睡眠健康指導士の山本智子さんに聞きました。

眠れないときは一度ベッドから離れて

Q.そもそも、自分にとって嫌な出来事に遭遇した場合、その日の睡眠にどのような影響を及ぼす可能性があるのでしょうか。

山本さん「寝るときに嫌なことを思い出してイライラしていると、交感神経が非常に活発になってしまって寝付きが悪くなるほか、寝ているときも目が覚めやすくなります。その結果、睡眠の質が下がって寝起きも悪くなり、翌日のパフォーマンスが低下する可能性があります」

Q.就寝時に日中の嫌な出来事を思い出してうまく眠れない場合、どうすればよいのでしょうか。対処法について、教えてください。

山本さん「早く寝るために『早く寝なきゃ』と考えるのはよくありません。『リラックスしなきゃ、早く寝なきゃ』と頭の中で考えて焦れば焦るほど、交感神経がどんどん活発になってしまい、逆効果になります。

対処法としては、深呼吸をしたり、筋弛緩法(きんしかんほう)を取り入れたりして、体からリラックスするようにアプローチするのがお勧めです。そのほか、『脳が興奮しない・体温が上がらない』というポイントを踏まえ、自分なりのリラックスルーティンをつくっておくのも有効です」

Q.嫌な出来事が原因で夜に眠れないときに、「早く寝なきゃ」と考える以外にやってはいけない行為はありますか。

山本さん「『眠れないのに布団やベッドに横になり続ける』『スマホを操作する』『お酒を飲む』の3つは逆効果になるため良くありません。

特に嫌なことがあった日はお酒を飲み過ぎてしまったり、眠れないからといってお酒の力を借りて寝ようとしたりしてしまいがちですが、睡眠にとって良いことは1つもないため避けましょう。

スマホを見て『眠れる方法』『嫌なことを忘れる方法』などと検索するのもやりがちですが、スマホのブルーライトは脳を覚醒させてしまうためよくありません。

寝付けないときは一度ベッドから離れて、リラックスする時間を設けるとよいでしょう。寝付けないまま、『でも寝ないと…』と考えて横になり続けることで、『ベッド=眠れない場所』と脳が学習してしまう恐れがあります」

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 嫌な出来事があった日はショックを引きずったり、イライラしたりすることが多く、寝付きが悪くなる傾向にあります。眠れないときは無理に横になり続けずにベッドから離れ、リラックスする時間をつくることが大切だということです。ぜひ実践してみてはいかがでしょうか。

オトナンサー編集部

就寝時に日中の嫌な出来事を思い出してしまい、なかなか眠れないときはどうする?