
国産中古車の海外流出が止まらない!
アメリカの「25年ルール」、「JDM」と法律やカルチャーの影響で国産中古車の海外流出が止まりません。最初はスポーツカーだけでしたが、現在では軽トラックをはじめとした軽自動車や4ドアセダンまでさまざまな車種の中古車が海外に輸出されています。ここでは、3年前の2022年と現在の中古車相場を比較して値上がり幅の大きかったベスト5を紹介します。
80系スープラの台数減少は大きな懸念材料
日本車の人気はもはや国内だけに留まらず、グローバル化しているのはご存じのとおりだろう。その影響もあって、トヨタ「ランドクルーザー」や「アルファード/ヴェルファイア」など人気の高い車種の車両盗難も増加しているのだ。
日本車の中古車人気に火が付いた理由と言えば、「25年ルール」と「JDM」と呼ばれるカルチャーの影響が大きい。「25年ルール」というのは、これはアメリカが施行している法律。アメリカは基本的に右ハンドルの輸入が禁止され、さらに世界のなかでも厳しい安全規制が課せられていて、安全性能を証明するために衝突試験を実施しなければならない。それが個人輸入の壁となっているのだ。
しかし製造から25年経過したクルマであれば、クラシックカーと見なされて、右ハンドルの制約や厳しい試験が免除されるという規則がある。これが「25年ルール」と呼ばれている法律だ。
また「JDM」は、映画「ワイルドスピード」をルーツとして、日本仕様の右ハンドルの車をカリフォルニアで乗るのが、若者にとってクールというカルチャーだ。最初はスポーツカーが中心だったが、現在では4ドアセダンや軽トラックまでブームは拡大しているのだ。
この「25年ルール」と「JDM」によって、まず海外流出が始まったのが、1989年に登場した日産R32型「スカイラインGT-R」だ。「ゴジラ」という愛称で非常に海外でも人気の高いR32型スカイラインGT-Rは価格の安い中古車があっという間に海外のバイヤーに買われて、海外に流出。その結果、国内の中古車市場は高騰してしまった。
今回は筆者が中古車相場を定点観測している中古車のなかから、3年前の2022年5月から2025年4月までで中古車の平均価格の値上がり率が大きかったクルマを5台紹介する。
第1位 日産R34型「スカイラインGT-R」 値上がり率:143.5%
この3年間で最も大きな値上がりを見せているのは日産R34型「スカイラインGT-R」。2022年5月の平均価格は1783万8000円だったが、現在は2560万9000円と777万1000円も値上がりしている。中古車の価格帯は2022年当時が1350万~5500万円だったが、現在は1380万円~7700万円と高額物件が増えている。
これを裏付けるように中古車の流通台数は、48台(2022年)から81台と増加。第2世代スカイラインGT-Rで、もっとも販売台数の多いR32型に肉薄するほど多くなっている。価格が高騰して手が届かない存在となってしまっているが、まだ中古車の流通台数が多いというのは、購入できるチャンスは残っている。
第2位 トヨタ80系スープラ 値上がり率:135.7%
トヨタ90系「スープラ」の生産終了がアナウンスされたが、この3年間で2番目に値上がり幅を記録したのが、80系スープラだ。2022年5月の平均価格は578万4000円だったが、現在は784万9000円と約206万5000円も値上がりしている。中古車の価格帯は2022年が338万~2480万円だったのに対して、現在は450万~1180万円とレンジは狭くなっている。
これはべらぼうに高い中古車はなくなっているが、相対的に相場が底上げされているということの表れ。さらに流通台数は、2022年当時は55台流通していたが、現在は33台と減少。来年になると値上がり率ではR34型スカイラインGT-Rを超える可能性もあり、希少性はさらにアップしそうだ。
第3位 日産S13型「シルビア」 値上がり率:129.1%
値上がり率129.1%で第3位にランクインしたのが、日産S13型「シルビア」。一般的に中古車はノーマルコンディションのクルマのほうが高額になりやすいものだ。しかしS13型シルビアはこのトレンドとは異なる。ドリフト競技のベース車となることが多いS13型シルビアはカリカリにチューニングが施されたクルマでも高額となるのだ。
2022当時の平均価格は258万6000円で、現在は333万9000円まで上昇。S15型シルビアと平均価格で2万円しか差がない状況だ。中古車の価格帯は、2022年当時が137万5000円~529万円。対して現在は179万~650万円と上昇し、相対的に高額な物件が増えている。ただし、流通台数は3年前の47台から現在は37台と減少しており、絶滅へのカウントダウンが始まっている。
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