
長らくテレビを見ていなかったライター・城戸さんが、TVerで見た番組を独特な視点で語る連載です。今回は『カミナリのチャリ旅!』(とちぎテレビ)をチョイス。
乱暴なのは暮らしのほうだ『FRUITS ZIPPERのNEW KAWAIIってしてよ?』/テレビお久しぶり#157
共に茨城県出身のカミナリがチャリで栃木県を中心に旅をする、とちぎテレビ制作の番組『カミナリのチャリ旅!』。私が見たのは、6月12日放送の奥日光の旅。自然豊かなロケーションでのアクティビティと、ふたりが宿泊する”亀の井ホテル 奥日光湯元”を紹介する。
これだけ正統派な旅番組を見たのは久しぶりだ。たとえば、旅全体を通して何らかのポイントを溜めて、終了時にその合計で競うとか、そういったサブ要素があるわけでもなく、ただ、カミナリが旅をするだけ。チャリに乗って。この連載で何度も書いているように、私はミニマルな番組が大好きなので、この『カミナリのチャリ旅!』も当然楽しんだ。やっぱり何事もシンプルなのがいいよね。複雑なのは疲れちゃうから。パソコンとかね。複雑すぎるんだよ、パソコンっていうのは……。
しかしホテルっていいよなあ。番組の後半は、”亀の井ホテル奥日光湯元”をフィーチャーする内容になっており、露天風呂、ビュッフェ、客室から覗く湯ノ湖岬の展望……とホテルの魅力が次々と提示される。まあ、私はフロには入れない(感覚的にどうしてもムリなのだ)んで、露天風呂というのはマイナスポイント(そんなワケはない)ではあるけれども、ビュッフェはめちゃくちゃ美味しそうだったな。私も年に何度か、ビジネスホテルに道楽で泊まることがあるのだけど、カネが無いもんでケチケチと素泊まりコースばかりを選択するから、ビュッフェ経験があまりない。北九州のルートインで一度、いわきのBBHで一度食らったのみだ。経験が無いから、目の前にたくさんの料理が並んでいても、尻もちをついて恐れおののくことしかできず、唐揚げや春巻きなど、知っている茶色い食べ物ばかりをチョイスをしてサササと退散してしまう。我ながら虫のようである。
それにしても、カミナリというのは不思議なコンビである。唯一無二の空気感というか、「ボケ」や「ツッコミ」ではなく、「友達」としてのコミュニケーションに終始している印象がある。ふたりが同じ方言を使うのも、そう感じさせる要因のひとつだろう。良い意味で芸人っぽくない。”地元にいるかっこいいニイちゃん”だ。ちょっと怖そうなんだけど、いざ喋るとコテコテで面白いし、ノリも分かってくれるし、缶コーヒーだって奢ってくれる。ふたりだけのノリがあって、それが始まるとこっちは観客にまわる。いつもオシャレな服を着ていて、どこで買ってるのか分からない。本人は話さないが、めっぽうモテてるって話を人からよく聞く。私にとってカミナリとは、なんとなくそんな存在である。かっこいいんだよね。
■文/城戸

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