
アメリカ、フロリダ州中部の湧き水の泉でスキューバダイビングを楽しんでいた男性が、一生忘れられない体験をした。
野生のマナティーが近づいてきたかと思うと、彼の足をぎゅっと握りしめ、抱きついてきたのだ。
マナティーは法律で保護されているため、人間の方から触れることは禁じられているが、マナティーの方からロックオンしてきたのだからこれは回避不能。
滅多に経験することのできないマナティのぬくもりを肌で感じることができた男性は、この思い出を胸に辛いことがあっても乗り越えられそうだ。
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フロリダ州の湧き水を巡る旅の途中でまさかの出会い
スキューバダイバーのケイシー・バリックさんは、アメリカ・フロリダ州の天然の湧き水の泉(湧水池)を500か所以上を巡るのが夢だ。
これらの泉は透き通った淡水で満たされ、美しい水中景観と豊かな生態系が広がっている。
2025年、この年初めてフロリダ州中部のある湧水池を訪れた際に、特別な出来事が起きた。
「ダイビングを終えて水から上がろうとしていたところ、何頭かのマナティーが近くにいるのに気づきました」とバリックさんは振り返る。
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マナティーはアメリカの「海洋哺乳類保護法」や「絶滅危惧種法」、さらにフロリダ州の「マナティー保護法」によって厳重に守られており、人間からの接触、追跡、餌付け、嫌がらせなどは固く禁止されている。そのため、バリックさんも距離を保ち、静かに様子を見守っていた。
ところが次の瞬間、思いがけないことが起こる。
好奇心旺盛なマナティの1頭が自分の方に泳いできて、ヒレで僕の足を抱きしめ、頭をすり寄せてきたんです

マナティーの自発的な「ハグ」に感動
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最初はびっくりしたというバリックさんだが、これは回避不能。マナティは野生動物である。彼らが自らそうしたのなら、いくら法律で禁止されていたもどうすることもできない。
バリックさんはめったに経験することができないこの瞬間を五感すべてで楽しむことに決めたという。
マナティのロックオンは数分間続き、抱きしめるかのように脚にしがみついたまま、離れようとはしなかった。

バリックさんはポールマウントのカメラを使い、その貴重な場面を撮影した。
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やがてマナティーはそっと足を離れ、水の中へと泳ぎ去った。バリックさんには一生忘れられない特別な思い出が残ったという。
こんなに大きな野生動物にハグされたのは初めてでした。本当に一生忘れられない特別な体験でした
@caseybarrick[https://www.tiktok.com/@caseybarrick?refer=embed] It is illegal to touch, chase, feed, or harass manatees. At the end of the day, they are still wild animals. This one swam over to me and gave me a hug ☺️ #florida[https://www.tiktok.com/tag/florida?refer=embed] #nature[https://www.tiktok.com/tag/nature?refer=embed] #exploring[https://www.tiktok.com/tag/exploring?refer=embed] #floridasprings[https://www.tiktok.com/tag/floridasprings?refer=embed] #manatee[https://www.tiktok.com/tag/manatee?refer=embed] #swimming[https://www.tiktok.com/tag/swimming?refer=embed] #underwaterphotography[https://www.tiktok.com/tag/underwaterphotography?refer=embed]
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法律と自然との共生意識
マナティーは「海のやさしい巨人」とも呼ばれる、草食性の穏やかな哺乳類だ。体長は約3〜4m、体重は400〜600kgにもなる。
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基本的には単独でのんびりと行動しており、群れをつくることは少ない。
だが、温かな泉や河口などでは自然と大勢集まってくる。
おだやかな性格で好奇心が旺盛なため、人間の姿に興味を持って自ら接近してくることもしばしば。高い学習能力や記憶力も持っており、見慣れた人物や行動を覚えて反応することがあると言われている。

現在、絶滅危惧種に分類されており、フロリダ州では、人間側が積極的に接触しないことがルールとして定められている。
違反すると最大10万ドル(約1,500万円)の罰金や懲役刑が科せられることもある。
それでも、好奇心旺盛なマナティーの方から自発的に近づいてくるケースは少なくない。
その際も、人間は手を出さず、静かにその行動を尊重する姿勢が求められている。
今回の体験もまさにそうした「自然との共生」の一例だ。バリックさんはルールを守りつつ、偶然訪れた奇跡のような時間を心から楽しんだのだった。

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