ポンコツ新米魔女・若月ニコ(CV.川口莉奈)と、使い魔としてニコを守る鬼の末裔・乙木守仁(CV.鈴木峻汰)。古い盟約からひとつ屋根の下で暮らすことになった2人が巻き起こす、ドタバタな日常を描いたマジカルコメディウィッチウォッチ」(ABEMAにて全話無料配信中)。「SKET DANCE」「彼方のアストラ」のヒット作を手がけた篠原健太の人気漫画を原作とした本作は、テンポのいいギャグの応酬とオタク心をくすぐるパロディオマージュ、個性豊かなキャラクターと声優陣の豪華さで、初回から大反響を呼んだ。間もなく始まる2クール目に向けて、これまでの物語から特に反響の大きかった回をピックアップしていこう。(以下、ネタバレを含みます)

【写真】ニコの魔法でモリヒトの顔面が“巨大化”

■モリヒトがニコのポンコツ魔法で爆笑七変化(第2話)

幼い頃から想いを寄せ続けているモリヒトとの同居生活がスタートしたうえに、高校でも同じクラスになれて浮かれ気分が止まらないニコ。そんな様子に不安しかないモリヒトは、クラスの自己紹介では魔女だとばらさないように釘を刺す。2人が通うことになった1年3組は、ガチオタの本性を隠す担任の真桑悠里(CV.小松未可子)を筆頭に、モブキャラポジションの生徒たちまでもが個性的すぎる面々揃い。そんな中、真面目で几帳面なモリヒトは、生徒たちの自己紹介を聞きながら真剣にメモを取り始める。

うっかりシャーペンに付属した消しゴムを折ってしまったモリヒトのため、ニコは対象物を大きくする魔法「ビッグーン」で消しゴムを大きくしようと試みる。ところが、狙いが外れてモリヒトのつむじの毛が巨大化し、「HUNTER×HUNTER」のゴン=フリークスさながらの姿に。あわてて魔法を解除しようとするも、今度はモリヒトの顔面が巨大化。えらい事態になっていることも知らず、他の生徒の冗談に大笑いするモリヒトのシュールな姿が、視聴者の腹筋を崩壊させた。

■幼い頃の思い出と今が重なるエモい描写にときめく(6話)

遠足の日、ニコは男子生徒から縁結びの樹の下に来てほしいと頼まれるが、それを聞いてもモリヒトが動じないことにショックを受ける。約束どおり樹の下へ向かうと、そこにはニコに恋のおまじないをかけてもらおうとする大勢の男子生徒が集まっていた。ホウキにまたがって逃げ出し、身を隠すために魔法で小さくなったニコは、モリヒトが女子生徒に告白されている現場に遭遇。好きな人はいない。でも、大切な人はいる。モリヒトの言葉にニコの鼓動は高鳴る

幼い頃、父が家を出ていってしまい泣きじゃくるニコを、優しく抱き締めてくれたモリヒト。温かい思い出がニコの脳裏をよぎる。その場を去ろうとするも、元の大きさに戻って落下してしまうニコ。その体を抱きとめたモリヒトは、重くないかと尋ねるニコに「俺は力持ちだからな」と答えて微笑む。初恋のきっかけとなった出来事と現在がシンクロする描写にときめかされる、とりわけエモーショナルな回のひとつだ。

■早送りのようなカンシの動きとセリフに腹がよじれること必至(第8話)

モリヒトに続いてニコと同居することになる天狗の末裔、カンちゃんこと風祭監志(CV.天崎滉平)。コミュ力が異常に高いお調子者にして、本作屈指の人気キャラクターでもある。そのカンシが生活費を使い込んでしまい、ネジを袋詰めする内職にいそしむ「カンシのバイト日記~内職~」は、原作でも好評を博した爆笑エピソードだ。ニコの魔法で動きが10倍速になったカンシには、ニコとモリヒトの動作や言葉が超スローに映り、3日――体感30日の孤独な“スローライフ”を過ごすことに。カンシのチャカチャカした動きと「キャルッ」としか聞こえないセリフ、苦労の末に会得したスロー語に爆笑必至。腹がよじれること確定なので、空腹および満腹の時の視聴は控えたほうがよさそうだ。

■温かい友情と家族愛に本気の涙が止まらない(第9話)

いつものギャグ回を予想し油断していた視聴者を、感動と号泣の渦に巻き込んだのが第9話の「伽羅へ」だ。クラスメートの南 伽羅(CV.高橋李依)に細切れになった手紙の修復を頼まれたニコは、それが去年亡くなった彼女の母が、カラに宛てた大切な手紙だと知る。カラの父は彼女が読む前に手紙をシュレッダーにかけてしまい、それ以来、父とは口を聞いていないという。事情を聞いたニコは、魔法で修復するために、モリヒトとカラと共に紙くずと手紙の仕分けを開始。ようやく手紙の修復に漕ぎつけるが、そこには驚きの真実が書かれていた…。

大切なクラスメートとの友情や家族愛が描かれたエピソードは、視聴者に大反響を呼び、SNSにも感動の声が多く寄せられた。ギャグの連打で笑い泣きさせられるだけでなく、時には感動の涙を流させてくれる。そんな絶妙なバランスも、本作の魅力のひとつといえる。

自他共に認める“サブカルクソ野郎”マガミケイゴ(CV.石川界人)や、清楚な美少女然としたルックスにポンコツさを隠し持つ魔女・宮尾音夢(CV.楠木ともり)など、ニコたちと深く関わることになる個性豊かなキャラクターも続々参戦。1クールの終盤ではケイゴの意外な素性が明らかになり、シリアスな展開と共に物語が大きく動き始めた。ニコたちの笑いとドキドキに満ちた日常を、腹筋を鍛えつつ見守ってみてはいかがだろうか。

天崎滉平の“崎”は正しくは「たつさき」。

◆文=帆刈理恵(スタジオエクレア)

アニメ「ウィッチウォッチ」より/(C)篠原健太/集英社・ウィッチウォッチ製作委員会・MBS