2025年6月5日任天堂から発売された「Nintendo Switch 2」(以下、Switch 2)。マイニンテンドーの抽選で運よく当選したSwitch 2を1週間遊んでみて実感したSwitch 2の魅力と、気になったポイントをまとめて紹介する。特に、旧モデル「Nintendo Switch」から今すぐ買い替えるべきか悩んでいる人は、記事の最後までぜひ読んでほしい。

SwitchとSwitch 2の大きさを比較

■旧モデル「Nintendo Switch」との比較

Switch 2の最大の見どころは、何といっても旧モデルの「Nintendo Switch」(以下、Switch)から大幅に進化した本体スペックだ。スペックの詳細は省略するが、プロセッサ、GPU、内蔵メモリなど基本的なパーツがすべて一新されたことにより、Switchユーザーの頭痛の種でもあった、グラフィック性能とローディング速度が大幅に改善された。

■「ゼルダ」は“世界の霧”が晴れたかのように美しい世界

実際にSwitch 2 Editionのソフトを何点か触ってみたが、グラフィックの美麗さとロード時間の大幅短縮は目を見張るものがあった。特に「ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム」は世界の霧が晴れたかのように美しい世界が広がり、今まで見ていた世界が夢の中だったのでは、と錯覚するくらいに衝撃を受けた。この美しいグラフィックこそがSwitch 2の最大の魅力であることは間違いないと確信したくらいだ。しかも、フレームレートは60fps張り付きなので、画面処理が多い場面でもリンクの動きがカクカクすることがほぼない。Switchのあのカクカク動作と比べると雲泥の差のようにも感じるほど、パフォーマンスが高いレベルで安定している。あえて説明を省くが、DLSSやレイトレーシングなどの最新技術が駆使されている点でも、任天堂Switch 2の能力底上げに力を入れていることがわかる。

ただひとつ残念なのは、グラフィック処理向上とロード時間の圧縮以外にゲーム内で変化がなかったこと。つまり、筆者のようにこのゲームを遊び尽くした人にとっては、何かやることが増えたわけでもなく、グラフィックがきれいになった“強化され尽くされたリンク”の姿が目の前にあるに過ぎなかった。

新作を出してくれ、とまでは言わないので、せめて追加DLCなどこのタイミングで新しい要素があれば課金してアップデートする意味を感じる人も少なくないのでは、と思う。できることなら、記憶を全部消してこのきれいなグラフィックでブレワイ(ティアキン含む)をゼロから遊びたい、そう思ったゼルダファンもかなり多いのでは?逆を言えば、まだプレイしたことのない人であれば、「絶対にプレイしてほしいSwitch 2 ソフト」の筆頭格!とも言えるだろう。

とはいえ、7月以降は「スーパー マリオパーティ ジャンボリー」や「星のカービィ ディスカバリー」などのSwitch 2 Editionリリースが控えているし、「サイバーパンク2077」や「ストリートファイター6」などサードパーティーSwitch 2ソフトは本体発売日に同時リリース済みだ。まだ触れてないソフトがあればSwitch 2の機能を活かして遊んでみるのもいいかもしれない。

■圧巻!「マリカー」の王道進化は素晴らしい

ローンチタイトルのひとつ「マリオカート ワールド」も遊んでみたが、前作の「マリオカート8 デラックス」からの進化はかなり素晴らしいものだった。グラフィックの向上だけでなく、フレームレートが60fpsに固定されていたのでドリフトのスムーズさにはかなり感動した。新しいコースもかなり充実しているので、Switch 2購入と同時に始めてみるのもいいと思う。

また、ハード面で地味にうれしいアップデートのポイントはドッグに有線LANアダプタが標準装備されたこと。据え置きでゲームをする場合、Wi-Fi接続による遅延や接続不良に悩まされることがなくなった。有線接続により速度が大幅に上昇したため、ソフトのDLで無駄に何十分も待機することがなくなったのは非常に大きい。

スペックの上昇とともにアップデートされたのは本体の大きさと重さ。ディスプレイサイズは6.2インチから7.9インチにサイズアップし、重量は約398グラムから約534グラムにアップしている。これをメリットと取るかデメリットと取るかは人によって評価が別れるところ。大人の手でもズッシリと負荷を感じるこの重さに、子どもの小さな手でどれだけ耐えられるのかは気になるポイントではある。

■謎のベールに包まれたままの新機能「ゲームチャット

Switch 2の新しい機能「ゲームチャット」は、ゲームをしながらボイスチャットで仲間とワイワイ楽しめることが魅力のゲーム内ツールだが、発売すぐのこのタイミングではSwitch 2自体を持っているリアルフレンドが周りにおらず、ツールそのものを試すことができなかったため評価は保留だ。多くの人にSwitch 2が行きわたった時点で、その真価が発揮されるのではないだろうか。

とはいえ、筆者のようなPCやPS5Xboxユーザーの場合、ボイスチャットは無料のコミュニケーションアプリ「Discord」を使うことがほとんどなため、このタイミングでオリジナルのボイスチャットが新機能と言われてもインパクトは薄かった。

オンラインゲームなどでフレンドとクロスプレイを楽しむゲームユーザーにとっては「Discord」がメインストリームと言っても過言ではないため、SwitchSwitch 2もサードパーティアプリ自体が使えないのは残念だ。「Discord」を使ってゲーム中のコミュニケーションを取る場合は、ミキサーに接続したスマホかPCを用意する必要がある。今回も変わらないこの拡張性のなさについては非常に惜しいポイントといわざるをえない。

Switch 2に今後、サードパーティアプリの使用や「Discord」との連携が認められるようにならなければ、そのほかのプラットフォームと同じコミュニティで遊ぶこと自体が難しくなるため、この新しい機能「ゲームチャット」そのものの存在がガラパゴス化していくのではないだろうか。

■その真価は対応ソフト待ち「Joy-Con 2

Switch 2のもうひとつ大きなデバイスの変化は、新しいコントローラー「Joy-Con 2」をマウスのように操作することができるようになったこと。

使い方は、「Joy-Con 2」の側面を下に向けてすべらせるだけなのだが、普段PC用のマウスを使ってゲームをしている人にとっては使用感にかなり特殊さを感じる。マウスパッドを使用しない設計なので、テーブルの上でとにかくすべりまくり、布面などでまったくすべらない。

精細な操作をするための新しいデバイス、という意味では大きな進化と言える。この機能を使ったゲームタイトルが出れば評価のポイントも変わるだろうが、発売すぐの現時点では正直使いどころを見つけるのが難しいと言わざるをえない。とはいえ、常に挑戦を仕掛ける任天堂だけに、「Joy-Con 2」の機能を活かしたソフトが登場することは想像に難くない。どんな“新体験”を提供してれくるのか今から楽しみだ。

■Proコン2の必要性は?現状は「慌てて購入しなくて大丈夫」

Switch 2本体の発売に伴い同じく注目されていた専用周辺機器。なかでも特に注目されていたのは「Nintendo Switch 2 Proコントローラー」(以下、Proコン2)だ。これ自体なくても付属のJoy-Con 2でゲーム操作はできるが、据え置きモードやテーブルモードでは必須アイテムと言っても過言ではない。ただし、旧モデルのSwitch用ProコンもそのままSwitch 2で使うことができるので、実際なにが違うのかという点に注目してみた。

■旧Proコンから大きく変化した3つのポイント

旧Proコンと比較して大きく変わったのは、背面ボタン、イヤホンジャックチャットボタンが追加されたこと。背面ボタンは自分の好きな配置を設定できるため、よく使うアビリティやアクションボタンなどを設定しておくとスムーズに操作ができるようになる。イヤホンジャックPS4PS5のコントローラーですでに搭載されていたものと同じで、3.5ミリジャックのイヤホンやヘッドセットを装着することができる。チャット機能にも連動しているので、マイク付きであればボイス機能も使うことができる。チャットボタンは先述の新機能「ゲームチャット」を起動するショートカットボタンだ。チャットボタン以外はいずれも標準搭載を希望する声が多かったため、かなり評価ポイントが高いアップデートだと言える。また、ホームボタンを押すとSwitch 2の起動ができるようになった点も地味にいい変更点だ。

見た目以外の面では、スティックのポーリングレートが有線・無線共通で1000ヘルツに固定されたことが非常に大きい。旧Proコンの低遅延に悩まされていたFPSユーザーなど、オンラインゲームをたしなむ人にとってはかなり大きな進化と言える。また、若干ではあるが、スティックのバネの硬さもやわらいだような気がするほど、質感が大幅によくなった。

■質感や操作性は大きく向上したが…?

Switch用のProコンを持ってない人はぜひ「買ってほしい」周辺機器のひとつ。一方で、質感や操作性がかなり向上したとはいえ、1万円近くする機器であることは間違いなく、旧Proコンからの買い替えを慌ててする必要があるかと言えばそうでもない。

あくまで今回のアップデートは「旧Proコンよりも便利になった」状態。便利になったとはいえ、現時点ではSwitch 2で遊ぶのにProコン2でなければいけない理由はまだない。現時点のソフトラインナップだと、1万円払って買い替えてまで費用対効果を得られるのかと言われると微妙だ。

ただ、今後必要に迫られたときに小売店などですぐに購入できないことも考えられるので、先を見据えて一緒に購入しておくのも悪い選択とは言えず、財布の中の事情で判断しても問題なさそうだ。

■結論:転売品には手を出さなくて大丈夫!

Switch 2はやっぱりすばらしいゲーム機だし、任天堂らしい優しくて扱いやすいUIや美しいグラフィック、爆速のローディング性能はSwitchユーザーのゲーム体験を根本からひっくり返すほどのポテンシャルを秘めていることは間違いない。ただ、現時点ではその機能を活かせるコンテンツが圧倒的に不足している、という声もある。

これは、昨今のSwitch人気を鑑みたとき、ハードが行きわたらない段階で「マリオ」や「ゼルダ」、「スマブラ」のようなキラーコンテンツの新作を出せば、手にいれられなかったユーザーのストレス上昇と転売価格の高騰は避けられず、大きな社会問題になっていたはずだ。この初期のラインナップは、徐々にハードを行きわたらせながら、「好きなソフトが出るタイミングで買ってね」という任天堂のメッセージだと思いたい。いや、思うことにする。

もちろん、抽選に当たれば買っておくに越したことはないかもしれない。ただ、なかなか買えないことに苛立ちを覚えてフリマサイトなどで安易に購入を検討している人は思いとどまるべきだ。いま慌てて転売屋から買っても「Switch 2でしかできないこと」はまだ少ない。ゆっくりあせらず、お気に入りのソフトが出るのを待つのが正解だ。

任天堂6月11日Switch 2の世界累計販売台数が350万台を突破、歴代で最速ペースだと発表した。ゲーム情報誌「ファミ通」によると、発売から4日間の国内推定販売台数が94万台だったそうなので、世界に出回っている本体の約4分の1のが日本の市場に出回ったことになる。最近は、家電量販店で普通に買えた、という声も広がっており、より多くの人にSwitch 2を手にすることになるだろう。

(C)Nintendo

任天堂の新型ゲーム機「Nintendo Switch 2」/(C)Nintendo