三菱「ギャランVR-4」が英国オークションに登場!約300万円の競売価格設定の結果と理由

ランエボ成功への道筋を付けた先駆者的なモデル

毎月2回開催されるイギリスの老舗オークションハウス「アイコニック・オークションネア」のオンラインオークション。2025年5月29日の回にはランサー エボリューションに繋がる三菱WRC世界ラリー選手権)チャレンジの遺産のひとつである「ギャランVR-4」がエントリーリストにありました。三菱初の本格フルタイム4WDは果たしてどのような評価を受けたのか? 早速見ていくことにします。

実績のあるスタリオン4WDの駆動システムを活用

長年三菱の中核を担ってきたミドルクラスサルーンギャランです。5代目まではヨーロピアン調デザインを軸に据えたスタイリッシュなセダンでしたが、1987年10月に登場した6代目はそれまでと趣を変え、逆スラントノーズのマッシブなデザインと背が高いオーソドックスな3ボックススタイルが特徴でした。当時は低車高のスタイリッシュなフォルムが主流でしたので、ギャランは他のモデルとは異なる個性を放っていました。

もうひとつ開発の目標に掲げられていたのは、ヨーロッパで人気が高かったWRC世界ラリー選手権)への再挑戦です。ヨーロッパにおけるブランド訴求には欠かせないものでした。ベース車両として用意されたVR-4(Victoryrunnerの略)は、WRCで主力の駆動方式となっていたセンターデフ式フルタイム4WDを採用。このシステムはギャランで初採用となりましたが、改造範囲が広いグループBカテゴリー参戦を目指していたスタリオン4WDでテストを繰り返したもの。その技術を活用したため、参戦初期からトラブルも少なく優秀であった。

Online Auctionに出品された「ギャランVR-4」は、いくらで落札された?

アクティブ4と称される最新技術を駆使して、性能を引き出した

エンジンも三菱初の試みで、従来の直列4気筒SOHCのG63型をブロックにツインカムヘッドを組み合わせた16バルブターボを搭載。リッター当たり100psを超える205ps/30.0㎏‐mのパフォーマンスは2Lクラスで際立っていました。

さらに、4WS(四輪操舵)、4ABS(4輪ABS)、4IS(4輪独立サスペンション)といった当時の最先端テクノロジーもフルに導入。「アクティブ4」と称されるこれらのシステムにより、卓越した加速や優れたトラクション性能を実現しました。基本性能の高さが勝敗を大きく左右するグループAカテゴリーにおいて、大いに威力を発揮。国内ラリー向けには限定100台で発売されたVR-4R、VR-4RSといった軽量モデルも発売されるなど、テコ入れされています。

そして、1989年のマイナーチェンジでは、過給機を含むセッティングの見直しにより、220psまでパワーアップし、翌年にはタービンの仕様変更からインタークーラーを大型化。バルブ径の拡大や吸排気の見直しなどにより、240ps/31㎏‐mまで向上。1992年によりコンパクトなボディを持つランサー エボリューションに役割を受け継ぐまで進化の手を緩めることはありませんでした。

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1万5000ポンド〜1万8000ポンド(邦貨換算約約296万円~355万円)で現在も販売中の「ギャランVR-4」(C)Bonhams