
米ニューヨーク・タイムズ紙が映画業界関係者500人を対象に実施した「21世紀の優秀映画100選」で、韓国のポン・ジュノ監督による「パラサイト 半地下の家族」(2019年)が1位に選ばれた。アカデミー賞作品賞を外国語映画として初めて受賞した同作の首位獲得は、従来のハリウッド中心の映画界におけるパラダイムシフトを象徴している。
今回の調査では、監督、俳優、撮影監督など映画制作の現場で活躍する500人以上の専門家が参加。各投票者は00年1月1日以降にアメリカで公開された長編映画から最大10作品を選出した。20世紀の古典的名作に偏りがちな従来の「歴代ベスト」とは異なり、現代の映画関係者が直接体験し、創作活動に影響を与えた作品群による構成となっている。
上位10作品は以下の通り
●1位「パラサイト 半地下の家族」(2019年、ポン・ジュノ監督)
●2位「マルホランド・ドライブ」(2001年、デビッド・リンチ監督)
●3位「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」(2007年、ポール・トーマス・アンダーソン監督)
●4位「花様年華」(2001年、ウォン・カーウァイ監督)
●5位「ムーンライト」(2016年、バリー・ジェンキンス監督)
●6位「ノーカントリー」(2007年、ジョエル・コーエン&イーサン・コーエン)
●7位「エターナル・サンシャイン」(2004年、ミシェル・ゴンドリー)
●8位「ゲット・アウト」(2017年、ジョーダン・ピール監督)
●10位「ソーシャル・ネットワーク」(2010年、デビッド・フィンチャー監督)
ランキング全体を通して、アジア映画の躍進、女性監督作品の増加、LGBTQ+をテーマにした作品の評価向上など、21世紀映画界の多様化が顕著に現れている。投票に参加した女優のジュリアン・ムーアは「この25年間で映画界は劇的に変化し、それがこのリストに反映されている」とコメントしている。
また、「ムーンライト」のバリー・ジェンキンス監督は「映画が多くの人々の自己理解の扉となったことに驚いている」と作品の影響力について語った。
2000年から2025年までの四半世紀で、これほど多様で革新的な作品群が誕生したことを考えると、ストリーミングサービスの普及、AI技術の発展、新たな映像表現技術の登場により、映画界の変化は今後も加速していくと予想される。今回のランキングは21世紀映画史の「序章」に過ぎず、真の傑作はこれから生まれる可能性も十分にありそうだ。

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