
希少性の高いC2コルベットのスプリットウィンドウ
業界最大手のひとつ、RMサザビーズ社が毎年5〜6月に欧州本社と北米本社を競合させるかたちで開催する「Shift Online」。オンライン開催ということもあり、秘匿性が保ちやすい一方、出品へのハードルを低く設定されていることが多いです。それらの理由から個性的なクルマたちが集まっています。今回は「North America(北米)」版Shift Onlineの出品ロットのなかから、アメリカ車のコレクターズカーとしては最上位の人気を誇るモデル、シボレーC2コルベット・スティングレイを紹介します。
アメリカのクラシックカーのなかでも特別な存在、名作C2コルベットとは
1962年のパリ・サロンにおいて、それまでの5年以上にわたる研究開発の成果として、まったく新しい第2世代のシボレーC2コルベットが「1963年モデル」としてデビューを果たした。
この新生C2コルベットの設計者、GMデザイン部門の長であるビル・ミッチェルと、レース経験も豊富な伝説のエンジニア、「コルベットの父」とも呼ばれるゾーラ・アーカス・ダントフによる空力設計は、実利面と美的側面の双方を当時としては完璧に体現したもの。ふたりが開発したコンセプトカー「スティングレイ・レーサー」にちなんで「コルベット スティングレイ」と命名されることになる。
従来のX型構造に代わって新しいラダー型フレームとすることで重心が低くなり、ハンドリング性能も向上。堅固なリジッドのリアアクスルは、完全独立サスペンションに取って代わられた。
ボディは従来どおり軽量なファイバーグラス製であったものの、C2コルベット スティングレイは、鋼鉄製の上部構造を与えることで初代C1コルベットに比べ2倍近くの剛性をアップ。また徹底的な風洞試験の結果、C1時代とは大幅に異なるデザインが採用され、C5までのコルベットで定番となったリトラクタブル式ヘッドライトが導入された。
もっとも希少なアメリカンコレクターズカーの1台
コルベット史上初の試みとして、従来のコンバーチブルに加え、スタイリッシュなクーペボディの選択肢が顧客に提供されたのも、重要なトピックといえよう。この新クーペの流線型ファストバックは、ルーフの全長にわたり隆起した「脊椎」がリアエンドまで走り、リアウインドウを二分してカウルの上部で終了するという、極めて印象的なデザインとされた。
当時の顧客は「スプリットウインドウ」を熱望し、ときには納車まで数カ月待たされることもあったという。ところが、ほどなく後方視界を妨げると指摘する苦情が相次いだことから、一部のディーラーは後部窓の「脊椎」を撤去し、2枚のガラスパネルを1枚モノのポリカーボネート板への交換を提案するようになっていた。そして、その問題を重く見たシボレーは1964年モデルのデザインを改訂し、ワンピース式のカーブドリアウインドウを採用することにした。
このため、1963年型のコルベット スティングレイ クーペは、その象徴的な「スプリットウインドウ」と呼ばれる1年限定の驚異的なデザインと、アメリカンパワーの組み合わせで知られる。もっとも希少なアメリカンコレクターズカーのひとつとなったのだ。
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