
4億円以上もの資産を築きFIRE生活を送る投資家PAN氏も、かつてはBRICs投資やFXでまさに“失敗だらけ”だったといいます。「投資で成功する人って、きっと最初から才能があったんでしょ?」そう思われがちですが、そんなこともないようです。多くの資産を築いている人は、どのような経験を経てその境地にたどり着いたのでしょうか。本記事では、同氏の著書『世界最強の米国株で始める株の教科書』(フォレスト出版)より、誰もが陥りがちな投資の落とし穴について解説していきます。
失敗だらけの投資歴
わたしの場合、2023年についにFIREを果たし、金融資産が4億円を超えて、今では動画での情報発信や投資講座を開催しながら、長期間の海外旅行などを家族と一緒に楽しんでいます。ーーおめでとうございます。資産が4億円になるまで、どのくらいの時間がかかりましたか?
金融資産額の推移を簡単にまとめると、こんな感じです。2013年3,000万円→2016年1億円→2019年2億円→2021年3億円→2024年4億円。
ーーまさに順風満帆ですね。4億円までお金を増やせる人は、きっと才能があるんでしょうねぇ……。投資は最初からうまくいっていたんでしょ?
いえ……決してそんなことはありません。わたしもいろんな失敗をしてきました。結果として資産を増やせましたけれど、かなり激しく増減させてきたんですよ。
投資との出会いと小さな損失
今でこそ米国株投資についてある程度知識と経験があり、FIRE生活を満喫していますが、まったく自慢できないような投資をしていた時期もありました。みなさんの参考になるかと思い、失敗談も含めて、これまでの投資歴をまとめてみました。
まず、若い頃に、世界的ベストセラー『金持ち父さん貧乏父さん』(ロバート・キヨサキ著)を読みました。「お金のために働くのは中流以下、お金持ちは自分のためにお金を働かせるのだ」といった心構えが書かれています。
この本の中で、「お金持ちになるには不動産投資をするべき」とありました。フルローンで不動産を買って、転売し、そのお金でまた不動産を買う。これを繰り返すことでお金がどんどん増えていくのだ、と。「なるほど、そういうものか」と感心したのですが、当時はまだ若く、信用力もお金もないので、不動産投資は難しく、実際にやってみることはありませんでした。ただ、お金持ちになるには投資をしなければならないということは強く感じました。
しばらくしてからBRICs(ブリックス)投資を始めました。BRICsとは、ブラジル(Brazil)、ロシア(Russia)、インド(India)、中国(China)の頭文字をとったもの(現在は南アフリカも加わり、BRICSと表記する)。広い国土、大きな人口、豊かな天然資源を持つこれらの国は飛躍的な成長が見込まれるのだと、もてはやされました。
そこでわたしも、BRICs諸国の株や債券などに投資する投資信託を購入しました。この頃はまだ投資に関する知識がなく、「なんかBRICsというのが流行ってるらしい」というだけの理由でした。10年も経たないうちにブームが終わり、価格も下がったので、売却しました。それほど大きくはありませんが、マイナスになりましたね。
子どもが生まれる直前にリーマンショックで大損失
今度はFX(外国為替証拠金取引)を始めました。高金利通貨のひとつNZD(ニュージーランド・ドル)を買いました。当時は日本の政策金利が0.5%だったのに、ニュージーランドは8%ほどもあり、金利差の分がスワップポイントとしてほぼ毎日入ってきました。そのままNZDが安定しているか、上がってくれればよかったのですが、残念ながら、そううまくはいきません。2008年9月にリーマンショックが起きたのです。
日本円は安全資産とみなされていましたし、リーマンショックによる金融危機の影響が日本は小さいと考えられていたので、すごい勢いで円高になっていきました。日本円を売ってNZDを買っていたので、みるみるうちに含み損が膨らんでいきました。損失が大きくなり過ぎると強制ロスカットされてしまいます。ロスカットを避けるために、追加でお金を入れ続けました。
その結果、損失額が700万円にもなってしまいました。手持ちの貯金はあと100万円。それを入れるべきかどうか、迷いました。100万円を入れればロスカットされずに耐えられるかもしれない。でも、さらに円高が進めば、最後の100万円まで失ってしまう。
よくよく考えた結果、100万円は手元に残し、700万円のマイナスで終了することにしました。実はこのとき、すでに結婚していて、子どもが生まれたばかりというタイミングでした。独り身ならゼロになるまでやっていたかもしれませんが、これからの生活を考えて、100万円は手元に残すという判断をしました。
NZDに関しては、それなりに勉強してから手を出したつもりだったのですが、このような結果になり、呆然としました。チャートを調べて、過去10年で一番円高になってもロスカットされないようにお金を入れていたのですが、100年に一度といわれるリーマンショックが、10年間の最低水準を一瞬で踏み抜いていったのです。10年分をみておけば大丈夫だと考えたことや、損切りの大切さを理解していなかったことを深く反省しました。
アメリカで働きながらラップ口座を試してみたが…
それからしばらくして、アメリカの現地ハイテク企業に雇われて、カリフォルニアで暮らすようになりました。日本企業よりも給与が高いですし、給与の一部として受け取った株がIPO(新規株式公開)で値上がりして、3,000万円ほどの貯金ができました。
すると、お金を預けていたユニオンバンクという銀行から、「投資しませんか?」という提案があり、ラップ口座を始めました。銀行や証券会社などと投資一任契約を結び、資産の運用・管理を任せるものです。
ラップ口座を始めると、20~30ページもある紙のレポートが定期的に送られてくるようになります。表やグラフがいっぱいあって、どうやらいろんな金融商品に投資しているらしいのですが、まるで意味がわからない。意味はわからなかったのですが、トータルの金額が減っていることはわかりました。手数料を払ってプロに任せているのに、どうしてお金が減るのか?
当然、増えるものだとばかり思っていたので、あっさりやめてしまいました。当時はまだリーマンショックの傷が癒えず、金利も低く株価も低迷を続けている時期だったので、期待し過ぎだったのかもしれません。
PAN 米国株投資家

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