セガは6月26日、「ペルソナ」シリーズの新作ゲーム『ペルソナ5: The Phantom X』(以下、『P5X』)をスマートフォン(iOS/Android)とPC(Steam/Google Play Games)向けに配信開始した。

参考:【画像】『ペルソナ5』の世界観をベースに、新たなキャラクターたちが紡ぐ重厚なストーリーが楽しめるRPG『ペルソナ5: The Phantom X』

 これに先駆け、 セガのゲームデザイナーの立ち会いのもと実施されたメディア向け体験会では、2024年11月末に実施されたクローズドβテスト(以下、CBT)時点からブラッシュアップされたポイントや注目のコンテンツが多数明らかになったので、本稿にて詳しく紹介していこう。

 2024年4月より中国などのアジア圏でサービスを開始し、このたび待望の日本上陸を果たした『P5X』。セガのゲームデザイナーは、先に実施した日本国内でのCBTに関して「中国アジア版での遊ばれかたと(日本プレイヤーの遊びかたとは)大きな違いがあった」と言及し、その結果を受けて日本版には独自の調整や改修を多数行ったことを明かした。

 アジア圏のプレイヤーと比較した際の日本プレイヤーの特徴として挙げられるポイントのひとつが、“コントローラー使用率の高さ”だ。本作はスマホでのプレイにも対応するため、タッチ操作でも快適に遊べるよう各種UIが調整されている(≒キーボードマウスによる操作とも親和性がある)わけだが、日本ではコンシューマーゲームとしての『ペルソナ』シリーズに親しみがあることからか、コントローラーを接続して『P5X』をプレイするプレイヤーが非常に多かったそうだ。

 そのため、コントローラー操作でもメニュー画面での項目選択などを快適に行えるようにカーソルモード(任意のボタンの長押しで左スティックによるポインタ操作が可能になる)を新たに追加。

 さらに、スティックによるキャラクター移動の操作感を全体的に見直し、たとえば歩行からダッシュに移行するまでの時間や、進行方向を急激に変えた際の挙動などを、モーションも含めて改善しているとのこと。

 また日本プレイヤー特有の傾向として、“1回あたりのプレイ時間が短い”ことから、スキマ時間でのプレイでもRPGらしいキャラクター育成の楽しみを感じやすいゲームデザインへと調整を施したという。

 たとえば「マイパレス」は、プレイヤーが拠点内にさまざまなペルソナオブジェやポスターなどを配置して自分好みの装飾が楽しめる、いわゆる“箱庭要素”なのだが、ここでは「QEVEL」というキャラクター育成度の評価値も確認可能となっている。

 「QEVEL」はプレイヤーが所持する「怪盗」(プレイアブルキャラクター)たちの育成・強化度合によって算出される「評価」の合計が一定量を上回るごとにレベルが上がり、段階に応じてプレイヤーにさまざまな恩恵をもたらしてくれる。

 具体的には、“◯属性のダメージが◯%上昇”や“味方全体のHP回復量が◯%上昇”などのバトルで役立つものから、“毎日ログイン時、初回のみ体力を◯回復”といったプレイヤーのQoLを高めてくれるような効果などが存在する。これにより、(パーティメンバーとして重用するか否かにかかわらず)より多くの「怪盗」を育成することに意義が生まれるというわけだ。

 そのほか、名作RPGである『ペルソナ』シリーズに連なる完全新作としてファンの期待に応えるべく、キャラクターの2Dバストアップビジュアル(いわゆる立ち絵)をアジア版からほぼすべてブラッシュアップし、とくに重要キャラクターの「多祢村 理子」に関しては、日本版では新規描き起こしを行っている。

 また探索パートにおいて話しかけることが可能なNPCの数も増えており、それによってテキスト量(≒世界観に関する情報量)も増大。RPGとしてより“浸れる”仕様になったことも、腰を据えて楽しめるゲーム性を期待していたファンには朗報だろう。

 シリーズファンにとっては、主人公の名前も大きなトピックとなるはずだ。今回、日本展開にあたってアトラス考案の『P5X』の主人公案が、入力欄にセットされた。先の日本CBTでは「序盤の名前入力画面で困ってしまった」というユーザーからの意見があったそうなので、迷った際にはアトラスが用意した名前をそのまま採用するのも一興だ。

 ちなみに、『ペルソナ5』をベースにそれを上回る密度で東京の街並みをリアルに再現したマップ内を探索していくなかでは、個性豊かなキャラクターとの個別イベントが発生することも。

 今回の試遊会では“世話好きジモティーお姉さん”こと「宮下 美波」とのイベントを一部体験できたのだが、“主人公と地元が同じ”、“近所の子どもたちと仲が良い”、“父親が営む居酒屋看板娘”、“黒髪ポニテ”など個人的に刺さる要素だらけで続く展開が非常に気になった。

 なお、こうした探索中のキャラクターイベントの進行にはゲーム内の日数経過が必要になる場合もあるようで、人によってはもどかしく感じるポイントかもしれないが、筆者としては日常の“生活感”の醸成に一役買っていたと感じた次第だ。

 スキルの引き継ぎシステムがあるなど奥深い「ペルソナ合体」や、鍛えたパーティで強敵に挑戦できる「ベルベットルームの試練」「心の海の試練」などの高難度コンテンツ、“ソロでも挑戦可能”なギルドレイドバトルなど、じっくり腰を据えて楽しめる要素も満載。基本プレイ無料となっているので、興味を持った方はぜひ一度ダウンロードのうえプレイしてみてはいかがだろうか。

(文=山本雄太郎)

©Perfect World Adapted from Persona5 🄫ATLUS. 🄫SEGA.