●藤原丈一郎に「勝手に親近感」
きょう3日にスタートするドラマ『ロンダリング』(カンテレ 毎週木曜24:15~/フジテレビ 同26:15~ ※FOD先行配信)。“死者の声が聞こえる”という役に立たない特殊能力を持つ男・緋山鋭介(藤原丈一郎)がアルバイトすることになる不動産会社の社員・蒼沢夏凜を演じるのが、菅井友香だ。今作の舞台裏や役者業への向き合い方、そして“ロンダリング(洗浄)”したいことを聞いた――。

○確認しながらの「モヤが見えているような演技」

――菅井さんが演じる夏凜はどんな女性ですか?

すごくクールで、自然に笑うってことがないんです。心からの笑顔を見せることはないんだけど、仕事のときのビジネススマイルだけは完ぺきなんです(笑)。夏凜は緋山くんがアルバイトをすることになる不動産会社の社員で、厄介なお客さんにも対応するんですが、怒らせないように作り笑顔を通すのは得意なんです。でも、緋山くんに対してはそういう気づかいもいらないし、「面倒な人が来ちゃったな」くらいに思ってるから、すごく冷たいんですよね。

――ずっとツンツンしてる?

そうですね。緋山くんがかわいそうなくらい(笑)。でも、夏凜は特殊能力のせいで自分を押し殺して生きなくちゃいけなかったりとか、いろんな苦労をしてきたと思うんです。だからあえて人と距離を置くし、自分を守るためにクールに生きていくしかなかったのかなと。

――見えるはずのないものが見えてしまう、夏凜の特殊能力もユニークですね。

霊そのものが見えるのではなくて、霊がいる危険な場所を察知すると、そこに濃い“モヤ”がかかって見えるという、ちょっと不思議な能力の持ち主なんです。撮影ではモヤが見えているような演技をするんですけど、もちろん実際には見えていないので、自分でイメージするしかなくて。「私はこう見えているイメージなんですけど、合ってますか?」って監督に確認しながら演じていました。

○誰もいない部屋からノックが…

――心霊を扱ったドラマの撮影現場では、不思議なことが起こりがちとも聞きますが…。

実は、1回だけあって。誰もいない部屋からノックが聞こえてくることがあったんです。でも、怖いことってその1回くらいで…。

――“その1回くらい”って!(笑) それだけでもかなり不気味だと思いますが…?

はい、怖かったです(笑)。藤原さんと2人のシーンの撮影で、前には人が住んでたけど今は誰もいないという建物のそばで待機していたときに、中から“トントン”って叩く音がして。スタッフさんは誰も気づいていなくて、藤原さんと「今聞こえたよね?」ってザワザワしてました。私は霊感がないから何も見えなかったけど、夏凜みたいに見えてたら絶対に逃げてたと思います(笑)

――そんな怖い体験も共有した“バディ”藤原さんの印象は?

藤原さんとは同い年で、なにわ男子さんでは最年長。私もグループ所属時は最年長だったので、勝手に親近感がありましたね。でも、共演させていただくのは初めてで、芸歴も先輩。最初は緊張もしていたんですけど、藤原さんがすごく明るい方で、お話ししやすい空気を作ってくださったのですごくありがたかったです。藤原さんが演じる緋山くんは、すごくまっすぐでピュアな人。そんな緋山くんと出会って、夏凜がどう変化していくのか。そんなところにも注目していただけるとうれしいです。

お嬢様キャラから脱却へ「どんどんイジって!」
――ドラマのタイトル『ロンダリング』には“洗濯”や“洗浄”などの意味があります。菅井さんが今、ロンダリングしたいことは?

“自分のイメージ”かな。みなさんが私に持ってくださってるイメージをどんどん壊して、新しい姿を見せていけるといいなと思ってます。バラエティ番組とかに出るとき、私のキャラクターを“お嬢様”とご紹介いただくことが多いんですね。それがみなさんに覚えていただけるきっかけにもなっているし、とてもありがたいんですけれど、自分ではお嬢様だと思っていなくて…。

――ジレンマがある?

そうですね。お嬢様だとちょっとツッコみづらいとか思わせちゃうんじゃないかなと心配になったり…。本当はそうじゃないし、「どんどんイジっていただいていいんです!」ってことを分かっていただきたいなと(笑)。お嬢様ではない私の“じゃじゃ馬”な部分を、いろんな場所でちょっとずつ出していけたらいいなって思っています。
○誰かの明日を変えられるような役者になりたい

――『ロンダリング』の夏凜もそうですが、昨年の映画『女神降臨』ではヒロインを陥れる意地悪なヒール役、ドラマ『チェイサーゲームW』シリーズではドロドロ愛憎劇を演じたりと、お嬢様とはまったくイメージの違うチャレンジングな役が続きますね。

そういう役に出会えることが、すごくうれしいんです。普段の自分だったら、なかなか選ばない言葉とか行動を演じるのが楽しくて。夏凜の「ちっ!」って舌打ちしちゃうようなやさぐれた行動も、やってみるとすごく気持ちよかったりもしますし(笑)。「こんな自分もあったんだ!」って驚いたり、新鮮に思ったりするのは本当に刺激になるので、そんな機会をもっともっと頂けるように、これからも一作品一作品を大事に、120%の力で挑んでいきたいなと思いますね。

――来年のNHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』での前田利家の正室・まつ役も楽しみです。

ありがとうございます! まつを演じるにあたっては、ひとりの女性として共感できる部分がたくさんあります。もちろん共感だけではまったく及ばない部分も時代劇なのでたくさんあって…。たくさん勉強して、しっかり準備をして撮影に臨みたいと思っています。

――“こんな役者になりたい”という未来像はありますか?

私自身、ドラマや映画を観るのが好きで、自分の人生を重ねて元気になったり、涙したりした経験に支えられて生きてきたんです。そんなふうに、いろんな人の人生に寄り添えたり、背中を押すことができたりするのが役者の仕事で素敵なところだと思うんです。このお仕事をさせていただいているからには、誰かの明日を生きる力になれるような、誰かの明日を変えられるような役者になりたいですね。これまでの人生で私が経験した楽しいことも、挫折や悲しいこともすべて力に変えられるような表現を目指してがんばっていきたいです!

菅井友香1995年11月29日生まれ、東京都出身。2015年、欅坂46(現・櫻坂46)のオーディションに合格し、1期生として加入。17年1月より初代キャプテンを務め、22年11月に同グループを卒業。俳優業を中心に活動の幅を広げる。出演作は、映画『怪獣ヤロウ!』、『女神降臨』、テレビドラマ『チェイサーゲームW パワハラ上司は私の元カノ』、『チェイサーゲームW2 美しき天女たち』(テレビ東京)、『ビジネス婚-好きになったら離婚します』(MBS)など。26年大河ドラマ『豊臣兄弟!』(NHK)への出演も控える。『競馬BEAT』(カンテレ)、『開運!なんでも鑑定団』(テレビ東京)でMCを務めるなどバラエティ番組でも活躍中。
(浅原奈美)

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