
高騰する日本の中古車相場はヨーロッパにも影響しているのか?
2025年5月29日に行われたイギリスの老舗オークションハウス「アイコニック・オークションネア」主催のオンラインオークションに、ホンダ「S2000」が出品されました。量産市販車ながら9000rpmを許容するエンジンを搭載するピュアスポーツとして近年コレクターから注目を集めるモデルですが、スポーツカーの聖地、欧州ではいかがなものか? 車両紹介とともに気になるオークションの結果をお伝えします。
本田技研工業の創立50周年を記念して誕生したピュアオープンスポーツ
ホンダS2000は1998年10月に発表され、約10年にわたり製造された本田技研工業の創立50周年記念モデルです。このクルマは、ホンダの四輪事業参入の礎となった1963年に開催された第9回全日本自動車ショウ(のちの東京モーターショー)で発表したFR駆動のオープンスポーツカー「S360」の思想を受け継ぎ、それの現代版として開発されました。
剛性や強度に不利なオープンボディながら、スポーツカーとして見劣りしない運動性能の実現を基本に「新世代リアルオープンスポーツ」をコンセプトに開発されました。そのため、強靭な骨格を得るために「ハイXボーンフレーム構造」と呼ばれる新たな手法を採用。その結果、ボディフロアのみで、クローズドボディに匹敵する剛性を確保しています。また、フロントミッドシップの採用により、車体の前後重量配分もスポーツカーの理想といえる50:50を実現。足まわりには前後ダブルウィッシュボーンを奢るなど、スポーツカーとしての基本性能は徹底的に磨き上げられています。
リッター125psを発揮し、9000rpmを許容するスペシャルエンジンを搭載
エンジンについてもスペシャルで、F20C型と呼ばれる2L直列4気筒DOHCユニットは従来のDOHC VTECエンジンをベースとしながら、より高回転、高出力を目指しつつ、軽量、コンパクトも推進。発売当時は「JTCC(全日本ツーリングカーレース)に参戦し、シリーズを席巻したアコードのエンジンを参考に開発されている」との話もあったほどです。
最高出力は自然吸気ながら250psとリッター当たり125psを超え、レブリミットも量産車としては驚異的な9000rpmとまさにレーシングスペックさながらの数値を誇りました。高回転まで突き抜ける官能的なエンジンとショートストロークの6速MTの気持ちよいシフトフィールも、かつてのSシリーズを彷彿とさせました。理想的な前後重量配分とダブルウイッシュボーンサスペンションなどによって、鋭いハンドリングと高いスタビリティを誇りました。
製造もホンダの最高峰スポーツカーであるNSXと同じ栃木製作所高根沢工場で行われた(のちに鈴鹿製作所の車種専用ラインへ移管)ことから、S2000がホンダにとって特別なモデルであることがうかがい知れます。
9000rpmまで一気に吹き上がるカミソリのようなフィーリングが魅力のS2000でしたが、シリーズ後半は、最大のマーケットであるアメリカからのニーズに応える形で、扱いやすさにウエイトが置かれました。
エンジンはストロークを延長して200㏄排気量を増したF22C型に進化。馬力を242psへ落とし、逆にトルクは0.3㎏アップさせることで、エンジンを回さなくても十分な加速が得られるように特性へと変更しました。その他、電子スロットルの採用や横滑り防止装置のVSCが標準装着化など、年を重ねるたびに「乗りやすくて速い」現代風スポーツカーへとアップデートされました。ただ、高回転、高出力なF20C型エンジンの前期型を好む層も根強く、今も人気は二分しています。
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