Leitz Cineは、多様なシネマレンズを継続的に供給するハイエンドブランドであり、業界で最も広範なラインナップを有している。現在、フルフレーム以上をカバーするレンズが6種類あり、加えてスーパー35mm対応の「SUMMILUX-C」と「SUMMICRON-C」の2種類があるため、合計で8種類のレンズが展開されている。

パフォーマンス、レガシー、キャラクターシリーズが拓く映像表現の可能性

Leitz Cineが提供する8種類のレンズのカテゴリー分けは、その差別化において注目すべき点である。同社によると、これらのレンズは「パフォーマンスシリーズ」「レガシーシリーズ」「キャラクターシリーズ」の3つのカテゴリーに分類され、この区分は約3年前に導入された。

「パフォーマンスシリーズ」「レガシーシリーズ」「キャラクターシリーズ」の3つのカテゴリー分けの紹介

パフォーマンスシリーズは、光学的な完成度を追求したレンズ群である。これらのレンズは、画面の中心から周辺部まで均一な描写を目標として開発された。Leitz Cineの技術と知見を最大限に活用し、最高の品質を実現したレンズであり、「LEITZ PRIME」「LEITZ ZOOM」「SUMMILUX-C」がこのシリーズに含まれる。

Leitz Cineのレガシーシリーズは、すべてライカのスチールレンズを基に開発されたレンズで構成される。「THALIA 65」は、ライカSシステム(中判レンズ)をベースに設計されている。また、「M 0.8」と「HUGO」はライカのMレンズを基にしている。M 0.8はMレンズにギアを追加したものであり、HUGOは絞り羽根を円形ボケになるように変更し、近接撮影距離を半減させている。さらに、HUGOはLPLマウントの堅牢なシネマレンズハウジングに収められている。

THALIAシリーズの名称は「THALIA 65」になり、外見に「65」の文字が入るようになった
こちらはHUGOシリーズ50mmのLPLマウントモデル

これらのレガシーシリーズのレンズは、ライカのスチールレンズをベースとしているため、フォーカシング時にブリージングが発生し、画面の中心から周辺にかけて描写の変化が見られるという特徴を持つ。

キャラクターシリーズは、フレームの端へ向かうにつれて描写性能が緩やかに変化し、フレア特性が強調されることで立体感と温かみのある肌色を表現する。このシリーズは、メーカーが光学的な表現の幅を追求する場と言えるだろう。フルフレーム対応のELSIEシリーズは、フルフレームレンズの中では比較的新しいが、高い品質を保ちつつ、特徴的なフレアやボケ味を実現している。このシリーズのレンズは、特に撮影監督からの評価が高い傾向にある。

THALIA 20mm、HUGO 40mm、そしてVENICEエクステンションシステムMini向けLPLマウントの登場

Leitzブースでは、以下の新たな展開が確認された。

THALIAシリーズに20mmレンズが追加される見込みである。現在THALIAシリーズは24mmまでが展開されているが、新たに開発される20mmレンズは65mmフォーマットをカバーする性能を持ち、7月に出荷が予定されている。

HUGOシリーズのラインナップも拡張される。現在18mmから135mmまでが提供されているが、Mレンズには存在しない40mmのHUGOレンズが追加される予定である。40mmはシネマ業界で好まれる焦点距離である。

3つ目はソニーの新型カメラ「VENICEエクステンションシステムMini」に、Leitz製の専用LPLマウントが登場する。このマウントにはPL変換機能も備わっており、製品として近日中に発売される予定である。ソニーは自社でLPLマウントアダプターを提供しておらず、カメラ本体はEマウントとPLマウントで出荷されている。これは、VENICEシリーズと同様に、LPLマウントに関してはARRIとの互換性を考慮し、サードパーティー製アダプターに任せるという方針によるものだ。Leitz製のこのLPLマウントは、その方針に沿う形で提供され、ユーザーへの利用が推奨されている。

ブースにはVENICEエクステンションシステムMiniの実機
こちらが「VENICEエクステンションシステムMini」対応のLeitz製専用LPLマウント

最後に、富士フイルムGFXが搭載する幅44mmセンサーへの対応について確認した。Leitz Cineの中でもGFXに推奨されるレンズとしてTHALIAシリーズが挙げられるが、ELSIEシリーズも広範囲をカバー可能である。ELSIEはフルフレーム対応とされているものの、実際にはそれ以上のイメージサークルを有しており、GFXの動画モードにおける15mmからのセンサーサイズ全域をカバーできる。したがって、GFXでの撮影においてはELSIEも有力な選択肢となるだろう。

Leitz Cineブースレポート。THALIA 20mm、HUGO 40mm、VENICEエクステンションシステムMini専用LPLマウント登場 Vol.05 [CineGear2025]