
この記事をまとめると
■2025年6月12~14日にベトナム・オートエキスポ2025が開催された
■ベトナムでは地元企業のビンファストが存在感をみせている
■クルマがまだまだ贅沢品であるがゆえにBEVの普及には時間がかかりそうだ
ベトナムではまだまだICE車が主流
ある地元メディアの報道を見ていると、ベトナム国内における2024暦年締め(2024年1~12月)での車名別新車販売トップ10に中国系メーカー車が1台も入っていない。ベトナムでBEV(バッテリー電気自動車)といえば、地元企業のビンファストがあり、同社は自社系公共交通運行会社も持っているので、ハノイ市内でのBEVタクシーやBEV路線バスはすべてビンファスト車となるだけではなく、ライドシェア向けBEVや、はたまた電動スクーターまでビンファストのモデルが走っている。東南アジアのほかの国ではよく売れているBYDも、ハノイ(ベトナムの首都)市内ではあまり見かけることがなかった。
ハノイ市内でよく見かけた中国車は上海汽車系のMGブランドや北京汽車、吉利(ジーリー)汽車などであった。ただ、得意のBEVはほとんど見かけず、たとえばMGではラインアップされている9車種のうちBEVは2車種だけとなっており、ベトナム市場ではICE(内燃機関車)がメインとなっている。傍から見ると、BEVは隠し技的な新車販売手法をとっているようである。
2025年6月12~14日の会期で開催されていた、ベトナム・オートエキスポ2025会場では、少ない完成車メーカーブースのなかで、GAC(広州汽車)モーターが出展していたのだが、ベトナム国内でラインアップする3車種ともICE(内燃機関)車であった。報道によると、以前はGACのBEVブランドとなるAIONがベトナム進出していたのだが、あっけなく撤退したそうである。二輪車が圧倒的に多いベトナムでは、ICE車を飛び越えてBEVというのはハードルが高すぎるということなのだろうか。
ベトナムでBEVを売るのは厳しいか
タクシーやライドシェア、路線バスなどのフリート販売を見ても、BEVバスもBEVタクシーもビンファストとなっており、ライドシェアでもビンファスト車となっている。BEVではないものの、MGのICEセダンとなるMG5はライドシェアで活躍しているようであった。ベトナムは電動スクーターから大型路線バスまで、BEVなら自国ブランドのビンファストとなるので、その点では存在感を見せられないでいるのかもしれない。
ハノイ市内での充電インフラ整備は、意外なほど進んでいるものの、ベトナム全土で見ればまだまだ不十分なことは否めない。新車販売のほとんどがICE車となる市場なので、当然ICE車で勝負となるのだが、そうなると日本車はもちろん、ベトナムでひときわ存在感を見せる韓国系ブランドとも差別化も難しくなってしまっている。
クルマがまだまだ贅沢品の域を抜け出していないほどの販売台数レベルとなるベトナムでは、ステータスで四輪車に乗るということも多くなるだろうから、結論として日本車が選ばれるのかもしれない。ただ、ステータスといっても、旧市街を中心に道路が狭かったりするので、トヨタでいえばヤリスクロス、そのほか三菱のエクスパンダーやエクスフォースなど、コンパクトなモデルがよく売れることになるようだ。
ベトナムも当然ながら、そのスピードは別としてもいずれゼロエミッション車の普及というものに取り組んでいくことになるだろう。ある程度BEVへ新車販売の需要がシフトした段階で、この分野で頭ひとつ抜けている中国車がどのような戦略を打ってくるのか、もちろん日本車もゼロエミッション車のラインアップは拡大していくことになるだろう。
地元ビンファストもあるなか、ベトナムのゼロエミッション車の今後の売れ方は非常に興味深いものとなるかもしれない。

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