●『ザ・ノンフィクション』前のめりでナレーション収録
歌手でタレントのあのが、フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(毎週日曜14:00~ ※関東ローカル)のナレーション収録に臨んだ。担当したのは、6日・13日の2週にわたって放送される「今晩 泊めてください2~ボクが一生続けたいこと~」。

リュック一つで全国をさすらい、夕暮れの街角で「今晩泊めてください」と書かれたフリップを掲げて、見知らぬ誰かの家を泊まり歩く毎日を続けてきたシュラフ石田さん(33)の生活も5年。前回放送のナレーションも務めたあのが、本編でフィーチャーされる石田さんの“変化”について「新しい自分が出てきただけなんじゃないかな」と語りかけた。

○「うちに泊まりに来てください」とオファーが来ることも

前回放送時、反響が「すごくあった」というあの。「ぼくがやるというきっかけで番組を見てくれた人もいたし、それで見てくれる人がいるんだということを、ぼくも知ったし。だから、今日も続きを見られるのが楽しみでした」と、前のめりでの収録だったと告白した。

そして「石田さんを通して、いろんな人の人生を見させてもらう気持ちになりました。ナレーションしながらだから、油断できないんだけど、ずっとVTRを見ちゃいました」と、疲れも見せず、視聴者としても楽しんだ様子。

前回放送は2023年10月。石田さんの存在は、SNSを中心に話題を呼び、自由気ままなスタイルにも変化が起きていた。

見知らぬ存在から、シュラフ石田として知られるようになり、“家主”と呼ぶ、その日、その日に出会った相手の家に泊まり歩くスタイルから、ときに「うちに泊まりに来てください」とSNSを通して連絡をもらい、事前にやり取りしていた行き先に泊まることも出てきた。そうして連絡をしてきた“家主”を訪ねていった広島では、3人の子どもを育てる夫婦のもとで、皆と夕食を囲んだ。

そうした変化に、初期から石田さんを知る“家主”のなかには「最近の石田さんは以前と少し違う」と口にする者も出てくる。

○前向きに捉えた変化「すごく人間っぽい」

あのも、石田さんへの印象が変わったという。

「なんとなく余裕が出たのかな。前の感じより、柔らかくなっているなと思いました。会ったこともないんですけど、でも確かに変化したところはあるかなと」

本編でも石田さん本人が「こだわりが減っているかもしれない」と語る場面が登場する。

しかし、あのは「こだわりが減っているというか、いい意味で固執した概念というか、考えみたいなものがすごく柔らかくなったと思う。自分の知名度が上がったことによって、この先、いつでも泊めてくれる人がいるという余裕が実際あるだろうし。人に対しての接し方も、すごく人間っぽいと思いました」と、その変化をあくまでも前向きにとらえた。

●「揺るがないから、怖くないと思う」
石田さんは「変わった」と言われることに対し、複雑な思いを抱えていそうな様子も見受けられるが、あのは“変化”についてこう話す。

「例えば自分の環境を変えるとか、ずっとやっていたものを止めるとか、そういったことにぼくは躊躇(ちゅうちょ)がないし、怖いとも思わない。変わるというよりは、種類が増えるという感覚。変わるというより、もう一個の自分を見せるというだけ。だから、石田さんも、見ようによっては“変わった”と言われるかもしれないけれど、もともとそういうものを持っていたのかもしれない。それこそ、環境の変化で、新しい自分が出てきただけなんじゃないかな」

さらに、「環境や場所が変わったとしても、自分は自分。そこは変わらない、揺るがないから、怖くないと思う」と続けて、あのの持つ強さをのぞかせる。

そして、「なんか実際に関わっていない人たちでも、見えてくるものがあるし、石田さんの人柄だったり、出てくる人たちもめちゃくちゃ個性的で興味を持ったし、前回より今回のほうが、なんかぼくは好きでしたね」と語った。
○自分が自分のことを好きになれる仕事

あの自身、今回の収録にあたり、前回とは変化を意識して挑んでいた。

「少し変えたいなと思ってやりました。声のトーンとか。今回はパブリックなイメージのところと、そうじゃないところを合わせてやろうと思いました」と振り返る。

聴いてすぐにあのだと分かる声が、あのの魅力のひとつだ。前回のナレーションしかり、パーソナリティを務めるラジオも人気、ボイスキャストで主演を務めた『デッドデッドデーモンデデデデデストラクション』も高い評価を得た。「声の仕事は好きなのでは?」と尋ねると、「好きです」と即答。そして思いを口にした。

「世間から“声が変だね”とか否定されることも結構あって。声のお仕事は、そういう自分の声を肯定できる場だと思っている。すごく救われる気持ちでやれるし、自分が自分のことを好きになれる、前向きな気持ちになれるから好きですし、今回も楽しかったです」

後編では、あのが「社会的なところも垣間見えて、ただの泊まりじゃないかも」「この映像を見てよかったなってすごく思った」と感想を漏らした、台湾編が描かれる。

●あの2020年9月から「ano」名義でソロ音楽活動を開始。22年4月、TOY’S FACTORYからメジャーデビュー。同年10月、TVアニメ『チェンソーマン』エンディングテーマに「ちゅ、多様性。」が抜てきされた。23年末には『NHK紅白歌合戦』にも出場。24年3月、映画『デッドデッドデーモンデデデデデストラクション』で主演声優と主題歌を担当。映画『【推しの子】-The Final Act-』にもMEMちょ役で出演。音楽活動だけに留まらずタレント、女優、声優、モデルと多岐にわたり活動する。25年9月には自身初の武道館公演を開催予定。

望月ふみ 70年代生まれのライター。ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画系を軸にエンタメネタを執筆。現在はインタビュー取材が中心で月に20本ほど担当。もちろんコラム系も書きます。愛猫との時間が癒しで、家全体の猫部屋化が加速中。 この著者の記事一覧はこちら
(望月ふみ)

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