資産形成の手段として人気が高い米国株。「投資するなら米国株が最強」という声はたびたび耳にします。ファンダメンタルズの強さや、政治的な安定感・金融政策の感応度、企業群のイノベーション力、株主への情報公開と利益還元など、そのようにもてはやされるのには明確な理由があります。では一方で、どのようなデメリットがあるでしょうか? PAN氏の著書『世界最強の米国株で始める株の教科書』(フォレスト出版)より、米国株投資を行う前に知っておくべきデメリットを解説します。

米国株投資のちょっとした4つのデメリット

1.取引時間は日本の深夜…時差の問題

まず、日本とアメリカには時差があるということ。米国株の取引時間は日本の深夜です。アメリカで大きな出来事があって相場が急変しても、眠っていれば、すぐに対応はできないでしょう。朝起きて、「え、こんな事件があったの!?」ということもありえます。

2.情報が少ない?…言葉の壁

米国株に関する情報は基本的に英語で発信されています。よほど英語が得意な人でない限り、読むのに時間がかかりますし、辞書を引いてなんとか理解できるという人もいるかと思います。ただ、これはそれほど気にしなくても大丈夫です。言語の問題は翻訳ツール生成AIなどを活用することで簡単に解消できるようになってきています。

3.ドルに対して12年かけて半値になった通貨「円」…為替リスク

もうひとつ、為替リスクがあることを覚えておいてください。円はドルに対して12年かけて半値になった通貨です。1ドル160円のときに買った株を、1ドル100円のときに売却すれば、円建てでみれば4割近く価値を減らしたことになります。逆に、円安ドル高が進めば、株価の上昇分に加えて、ドル高になった分の利益が得られます。

4.デメリットではない?…株主優待がない

わたしはデメリットとは思っていませんが、米国株には株主優待制度がありません。日本の上場企業は、その40%程度が株主優待制度を設けているので、みなさんにはおなじみかもしれませんね。

日本企業は株主優待を充実させることで、個人株主の長期保有を狙っています。定期的にレストランの食事券が送られてきたり、ホテルの宿泊券が送られてきたり、マヨネーズが送られてきたり。すごくうれしいと思います。

でも、冷静に考えると、マヨネーズを送るにはコストがかかっているわけです。1000円分のマヨネーズを1000円の手間賃と送料をかけて送れば2000円かかります。それは本来なら株主のお金です。それなら、2000円もらった方がよくないですか?

アメリカではほんの一部の例外を除いて、株主優待を行う企業はほぼ100%ありません。マヨネーズの代わりに、配当金を2000円増やすことで株主還元を充実させています。

PAN 米国株投資家

(※写真はイメージです/PIXTA)