
この記事をまとめると
■フェラーリ296GTBの高性能バージョンである「296スペチアーレ」が日本初披露された
■0-100km/h加速は2.8秒で0-200km/h加速は7秒フラット
日本初披露された296スペチアーレと296スペチアーレA
フェラーリから、「360チャレンジ ストラダーレ」、「430スクーデリア」、「458スペチアーレ」、「488ピスタ」に続くハイパフォーマンススペシャルとなる「296スペチアーレ」、そしてそのオープン仕様となる「296スペチアーレA(アペルタ)」が発表された。
そのベースとなっているのは、もちろん3リッターのV型6気筒ツインターボエンジンにエレクトリックモーターを組み合わせた、プラグインハイブリッドアーキテクチャーを採用した296シリーズで、その動力性能をさらに高めると同時に、徹底した軽量化やエアロダイナミクスの向上、そしてシャシーの強化などによって運動性能の向上を図るというコンセプトは、過去のハイパフォーマンススペシャルのそれと完全に共通する。
ここでは4月にイタリア本国での正式発表のあと、日本でも6月に開催されたフェラーリ・レーシングデイズで早くも初披露された296GTBベースの296スペチアーレを中心に、このスペシャルモデルの解説を進めていくことにしたい。ちなみに日本初披露のために用意された296スペチアーレのボディカラー、鮮やかなグリーンの「ヴェルデ・ニュルブルクリンク」は、この296スペチアーレシリーズのために専用設定されたものとされる。
296GTBと比較して、20%のダウンフォース増が実現したとされる296スペチアーレのボディには、さまざまな独自のディテールがある。フェラーリが「エアロダンパーコンセプト」と呼ぶ、やはり296GTBベースのワンメイクレース車両、「296チャレンジ」に由来するフロントアンダートレーとフロントボンネットをダクトで連結することでダウンフォースの増大に貢献するシステムなどは、その象徴的な例といえるもの。
フロントボンネットの左右には、それぞれにルーバーも備わるが、これはGT3カテゴリーの「296GT3」にも見られるフィニッシュだ。リヤセクションでは、バーティカルフィン、サイドウイング、そしてアクティブリヤスポイラーなどが新設計され、250km/h走行時のダウンフォース量は435kgを実現した。
700馬力のV6と180馬力のモーターで最高速度は330km/h
ミッドに搭載されるパワーユニットのシステム出力は、296GTB比で50馬力のエクストラを得た880馬力。これは後輪駆動のプロダクションモデルとしては、フェラーリの歴史において最高の数字となるもの。パワーユニットのコアとなるV型6気筒ツインターボエンジンには、これも296チャレンジからの技術導入となるチタン製のコンロッド、強化型のピストン、軽量クランクシャフトなどを採用。さらには、F1マシンに由来するノックコントロールシステムも搭載された。参考までにこのエンジン単体での最高出力は700馬力。
一方こちらも強化されたエレクトリックモーターは、新たに採用された「エクストラブーストモード」使用時には180馬力を発揮する。ミッションはシフト時に追加トルクを与えることでシフトスピードをさらに高速化した8速DCT。それによって2.8秒の0-100km/h加速と7秒フラットの0-200km/h加速を実現。最終的にその加速は、最高速である330km/hまでシームレスに続く。
296GTBと比較して60kgもの軽量化に成功しているのも、296スペチアーレの大きな特長だ。エンジンの単体重量は約9kgを削減。ほかにもエクステリアやインテリアのパーツにカーボンファイバーなどの軽量素材が積極的に採り入れられている。サスペンションはもちろんこの296スペチアーレのために、そのセッティングが見直され、とくにステアリングを切り込んだ瞬間の応答性は、よりリニアで俊敏なものにチューニングされているという。
注目の価格は、クローズドボディの296スペチアーレが5911万円。リトラクタブルハードトップを備えるオープンボディの296スペチアーレAが6715万円と発表されたが、日本市場への割り当て分はすでに完売とのこと。
はたしてどのようなカスタマーが、この究極のミッドシップスーパースポーツともいえるモデルのキーを手に入れることに成功したのだろうか。

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