来週の米ドル円相場の動向に影響を与えそうな「先週の米国経済の動き」について、東京海上アセットマネジメントが解説します。

先週は、「日銀短観」や「米雇用統計」が発表

先週は、日銀短観(6月調査)や6月の米雇用統計に注目しました(図表1)。

日銀短観(6月調査)では、注目度の高い大企業製造業の業況判断DIは、前回3月調査から1ポイント改善の13となりました(図表2)。

米政権により大幅な関税が賦課されている自動車や、中国経済低迷の影響を受けやすいはん用機械、生産用機械などが重石となった一方、原材料価格の下落が鉄鋼や紙・パルプ、石油・石炭製品などの景況感改善につながったとみられます。

大企業非製造業の業況判断DIは、前回調査から1ポイント悪化の34となりました。建設コストの上昇や物価高の長期化、人手不足感の強まりといった下押し材料も多く、不動産や物品賃貸、小売など幅広い業種で景況感が悪化しました。

先行きについては、米国の関税政策を巡る不確実性や海外経済の下振れリスクが残るなかでも、大企業製造業は1ポイントの悪化にとどまっており底堅い見通しとなりました。

6月米雇用統計…失業率低下の背景にある「移民政策」の厳格化

米労働省が公表した6月の雇用統計によると、非農業部門雇用者数が前月差+14.7万人と、市場予想(同+10.6万人)を上回りました。

雇用は政府部門(前月差+7.3万人)に牽引されたもので、特に州・地方が前月差+8.0万人(うち教育が同+6.4万人)となりました。州・地方の教育雇用が急増した要因は定かではないものの、一時的な要因である可能性があり割り引いてみる必要があります。

政府部門を除けば、民間部門は前月差+7.4万人と昨年10月以来の低い伸びとなっており、労働市場はヘッドラインの数字が示すほど内容は強くなかったと考えられます。

失業率は市場予想(4.3%)に反し4.1%と前月(4.2%)から低下しました。失業率の低下は労働力人口の減少に起因しており、トランプ政権の移民政策の厳格化が労働市場に影響を及ぼしている可能性があります。

東京海上アセットマネジメント

※当レポートの閲覧に当たっては【ご留意事項】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『【米ドル円】東京海上アセットマネジメントが振り返る…7月第1週の「米国経済」の動き』を参照)。

(※画像はイメージです/PIXTA)