
1990年代のホラーブームを牽引した映画「学校の怪談」シリーズ全4作品のBlu-ray発売を記念し、7月6日に東京・池袋HUMAXシネマズで、シリーズ第1弾「学校の怪談」(95)が特別上映された。上映後には主演を務めた俳優の野村宏伸、監督の平山秀幸、脚本を手がけた奥寺佐渡子が登壇。当時の貴重なエピソードに、即日完売となった客席は大盛り上がりだった。
●先生役の野村宏伸、子役たちとは「ある程度の距離を保っていた」
この日、ファンと一緒に映画を鑑賞したという野村は「フィルムの良さもあるし、いま思うと贅沢な撮影だった」と振り返り、「当時、子どもだった皆さんが、いまは親になって、お子さんにも見せられる。そんな代々受け継がれる映画っていいなと思う」と誇らしげ。印象に残るのは、お化けと対面し叫ぶシーンだといい「何回もできるシーンじゃないので、あそこに賭けていた」と話していた。
小学校教師の小向先生を演じ「どこか頼りない先生ですけど、そこから(子どもたちとピンチを乗り越え)先生、先生って慕われるようなキャラクター。押しつけがましくなくて、そこがいいのかな」と人気の理由を分析。子役たちの共演については、「慣れ合っちゃうと、緊張がゆるんでしまうので、ある程度の距離を保っていた。もちろん、嫌っていたわけではないです」と話していた。
●「子どもたちにとって、夏休みのいい思い出であれば、それで十分」
平山監督は「お化け屋敷で騒ぐ楽しいテイストは残しつつ、僕と奥寺さんで『お化けや幽霊は友だちである』というテーマを決めて、そこだけは崩さずにやろうと。(コンビとして)3作品つくりましたが、中身の柱は変わっていない。お化けたちは、子どもと遊びたくて出てくるので」と述懐する。
子役オーディションでは、「おはようございますって挨拶してくる子は、ほとんど落ちたと思います」と明かし、「みんな、とにかく言うこと聞かないので(笑)、自然体の状態を撮りたくて、黙ってカメラを回したことも。とにかく、出演したお子さんが将来すごい俳優になる、ならないは興味がなく、子どもたちにとって、夏休みのいい思い出であれば、それで十分だろうと思った」と語っていた。
●"稲葉杏子"の由来は? 「国宝」脚本家が回答
現在、大ヒット公開中の「国宝」の脚本も手がける奥寺氏は、「改めて見て、本当に丁寧に作られた映画だなと思う」とコメント。劇中には、「コーヒー牛乳とイチゴ牛乳、どっち好き?」「おれ貯金してんだ、貯金好き?」といった子どもらしいユニークなセリフも数多く登場しており、「私も当時、(脚本家)デビューしたばかりで、中身が小学生みたいだったのかも」と照れ笑いを見せた。ラストで香織が「私を忘れないでね」と伝えるセリフについては、「あれはさようならという意味だった」と説明した。
また、「学校の怪談2」に登場する稲葉杏子というキャラクター名について、長年ネット上で、同名キャラが登場する「地獄先生ぬ~べ~」が元ネタではないかと議論されてきたが、この日、奥寺氏は「偶然です」と回答していた。お気に入りのお化けは「インフェルノ」だといい、「(元の姿の)クマヒゲは、道徳に厳しいので、ルールを守らせたい一心。本当は優しい」と理由を語った。
●もしも、令和の時代にリメイクや続編を作るなら?
いまも根強い人気を誇る「学校の怪談」。もしも、令和の時代にリメイクや続編が作られたら、どんな作品にしたいかと問われた野村は「やっぱり、舞台は現代ではなく、携帯やスマホがない時代のほうが、いろいろと話を膨らませられるかなと思う」。自身が演じてみたい役柄について「もう還暦なので、先生役は無理かな。近所のおじさんかも」と答えると、平山監督から「お化け役もいいんじゃないですか?」と提案され、「お化けもいいですね」と思いをめぐらせた。
奥寺氏は「やっぱり、木造校舎が見たいな。いま残っているかな?」。舞台挨拶の締めくくりとして、平山監督が「自分が作った映画が30年後に上映してもらえるのは、自分にとってもうれしいこと。今日みたいなイベントや、Blu-rayとして残していただけるのもありがたい。いつか同窓会もやってみたいですね」と語ると、会場は大きな拍手に包まれた。
「学校の怪談」シリーズ全4作品のBlu-rayは、7月16日に発売される。
【映画「学校の怪談」シリーズ概要】
お化けが出ると噂される旧校舎に迷い込んだ先生と生徒たちの一夜の恐怖の体験を描く。第19回日本アカデミー賞で優秀脚本賞、優秀美術賞を受賞した。
古い学校に伝わるオバケ話を題材に、子供たちが恐ろしい体験を通してたくましく成長する姿を描いた。野村宏伸が別のキャラクターで再び主演した。
妖怪たちが棲む鏡の世界に引きずり込まれてしまった小学生たちと先生の脱出劇を通し、彼らが友情や愛情に目覚めていく。監督は金子修介。
海辺の町を舞台に、自然災害で亡くなった子どもたちの霊が巻き起こす恐怖を描く。「学校の怪談2」以来、平山監督&脚本の奥寺氏が復帰した。

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